こんにちは。
現役内科医ママの、ゆずです。
この記事を書いているのは、2018年1月24日です。
今シーズンのインフルエンザの流行もピークに達しつつあり、患者さんの数はどんどん増えています。
学級閉鎖、学年閉鎖の話も耳に入る様に。
今日も外来には発熱や関節痛などを訴える患者さんが何人も訪れ、そしてインフルエンザと診断した方も多かったですね。
さて、2017/2018年のインフルエンザ、なんだか例年と傾向が異なるんです。
何が違うのか…それは
「今年のインフルエンザ、B型が多すぎる!!」
今日はそんなB型インフルエンザについて、
・2017/2018年シーズンのインフルエンザ流行の特徴
・B型インフルエンザの一般的な特徴
・2017/2018年シーズンのB型インフルエンザの特徴
・ワクチン接種をした人はインフルエンザに罹っているのか
この様な内容について、解説してみたいと思います。
目次
インフルエンザの流行は各地で警報レベルに
記事を書いている時点で発表されている、2018年1月第3週時点でのデータでは、すでに全国各地でインフルエンザの流行は警報レベルに到達しつつあります。
出典:国立感染症研究所 インフルエンザ流行レベルマップ(2018.1.17)
私が勤務している東京都内でも流行が拡大しています。
こちらは過去5年分の定点医療機関あたりの患者報告数のグラフですが、赤で示されている2017/2018年シーズンがずば抜けて多くなっていることがわかります。
この勢いだと、第4週のデータが出たら警報が報道発表されると予想されます。
2017/2018年のインフルエンザ流行は異例のB型大流行
例年のインフルエンザ流行の特徴は、まずA型が流行し、シーズンの終わりに近く頃にB型が流行するというパターンです。
ところが、今年はシーズンの一番初めから、B型が異様に多いんです。
いや、もう本当に異様という言葉がぴったり。
私も10数年内科医をやっていてこんなことは初めてですし、周囲にも首をかしげるドクターが続出。
「今年はB型ばっかりだ」
「シーズンで初めてインフルエンザを診断した患者さんがいきなりB型って…」(←これ私です)
「A型だと思って検査を出したらB型だった」
こんな話が後をたちません。
私や私の周りの医師が偶然B型を多く診ているのではなく、感染症の動向からもそれは明らか。
こちらは東京都感染症情報センターで発表されているデータですが、黄緑色で示されるインB型フルエンザが40%を超えている事がわかります。
2017/2018年シーズンのインフルエンザ流行の特徴をまとめると、
・例年より早く流行が始まり、拡大している
・B型インフルエンザの患者さんが異様に多い
この2点かな、と思います。
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A型、B型インフルエンザの一般的な症状の違いとは?
今シーズンの特徴をお話しする前に、A型、B型インフルエンザの一般的な症状の違いをまとめておきますね。
【A型インフルエンザ】症状の特徴
A型インフルエンザの症状の特徴は、一般的には
・38℃を超える高熱
・強いのどの痛み
・関節痛、筋肉痛
・他の型に比べ重症化しやすい(肺炎や脳症などの合併)
こんな感じです。
「急にのどが痛くなって、寒気がしてきたと思ったら、あっという間に38℃を超える高熱になった…体のあちこちが痛くてしょうがない。」
この様な経過が、典型的なA型インフルエンザの経過です。
【B型インフルエンザ】症状の特徴
一方B型インフルエンザの症状の特徴は、一般的には
・A型と比べると、37℃台の微熱くらいに止まる人が多い
・お腹の痛みや下痢など、消化器系の症状が出やすい
こんな特徴があります。
お腹の風邪かな?という感じの症状が出やすいのが特徴です。
2017/2018年に流行しているB型インフルエンザの特徴とは?
先ほどご紹介した通り、例年なら「お腹の風邪」っぽい症状が出やすかったB型インフルエンザ。
A型の様な大きな流行を起こすことも、あまりないとされていました。
ところが。
今年は違います。さっきもちらっと書きましたが
「A型だと思って検査を出したらB型だった」
こんなケースが後を絶ちません。
そして、すごく流行しています!
2017/2018年のB型インフルエンザの症状は例年と異なる印象がある
これは、私が今シーズン診療していて感じたことや、私の周囲の内科、耳鼻科、小児科などの複数の先生からの話を聞いてわかったことなので、統計データではないことを先にお断りしておきますが…
今年のB型インフルエンザの患者さんは、先ほど解説した”例年のB型インフルエンザの症状”とはなんだかちょっと違うんです。
具体的には
・腹痛や下痢などの消化器症状を訴える人はいるけど少ない
・38℃以上の高熱の患者さんにしばしば遭遇
・喉の痛みは例年通りA型よりは軽め
・関節痛、筋肉痛の訴えが強い
こんな感じです。
つまり、今年流行しているB型インフルエンザは、症状がA型とかなり似ています。
だから、「A型だと思って検査したらB型だった」となるんですね。
ワクチン接種を受けた人の感染状況はどうか?
こちらに関しても、感染症情報の統計データではないので、私や私の周囲の先生方の診療経験からのお話になります。
診療している患者さんの数が限られたり、地域が限られることから、印象に偏りが出ている可能性があることを、先にお断りしておきます。
お断りした上で、敢えてお伝えすると、今年インフルエンザB型にかかった患者さんの中には、インフルエンザの予防接種を受けている方が結構含まれていますね。
「予防接種は受けたんですけど…」
とがっかりされる患者さんを何人もみてきました。
ワクチン接種の遅れが影響している
今シーズンはインフルエンザワクチンの供給が遅れ、さらに例年より早く流行が始まったことから、適切な時期(流行開始の1ヶ月以上前)にワクチン接種を受けられなかった患者さんが続出しています。
ワクチン接種の遅れから、まだ免疫ができていない時期に感染してしまった可能性は大いにあります。
今シーズンのワクチン、B型に関しては当たっている可能性大
しかし、適切な時期に接種したと思われる方の中にも、感染してしまった患者さんがいました。
そこで国立感染症研究所で収集された今シーズン流行しているB型インフルエンザの型と、今シーズンのワクチン株を比較したところ、ワクチン株自体は大体当たっていました。
(流行しているウイルスと、ワクチンで用いたウイルスの抗原性が似ていたということです。)
このデータからは、ワクチン接種を適切な時期に行った方は、免疫がついている可能性があると考えられます。
ワクチン接種によって免疫がつくかどうかは個人差があります。
・ワクチン接種からまだ1ヶ月経っていない方
・ワクチン接種から1ヶ月経ったけれど、免疫が十分つかなかった方
この様な方が、B型インフルエンザに罹っているものと推測されます。
インフルエンザにまつわる様々な情報をまとめています
当ブログでは、
・子ども、赤ちゃん、妊婦さんはインフルエンザの予防接種は受けた方が良いのか?
・インフルエンザにかかってしまった時の受診のタイミングと対処法
・抗インフルエンザ薬の子ども、妊婦さん、授乳中の方の安全性について
・インフルエンザで起こる子どもの異常行動について
・インフルエンザの出席停止、出勤停止について
この様な情報を、子育て中のご家庭に向けてまとめています。
それぞれの記事へのリンクをご紹介した
【インフルエンザ特集!インフルエンザの予防から罹った時の対処法までを現役内科医ママが解説します】

こちらの記事もぜひチェックしてみてくださいね。
流行中のインフルエンザに、引き続き注意を!
猛威を振るっているインフルエンザ。
流行中のこの時期は、
・人ごみを避ける
・混雑したところではマスクを着用する
・手洗い、うがいはこまめにしっかりと
この様なことに気をつけて、お過ごしください。
ちなみに、我が家は娘がインフルエンザにかからない様、人混みへの子連れの外出は自粛中です。(最近はもっぱら外遊びか家の中です。)
インフルエンザにかかってしまった方や、かかっていないけれど心配しているという方に、この記事がお役に立てれば幸いです。