糖質制限はがんのリスク?妊娠中の糖質制限で胎児の知能低下も?糖質制限ダイエットの効果とリスクを内科医ママが教えます。

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こんにちは。
現役内科医ママの、ゆずです。

年末年始は1年の中で一番太りやすい季節ではないでしょうか。
忘年会に新年会、お正月はテレビを見ながらのんびり美味しいものをいただく…そんな生活でやはり気になるのは、体重が増えてしまうこと。
そして体重が増えてしまったら、多くの方が取り組むのが「ダイエット」ですね。

近年流行している「糖質制限ダイエット」、あなたは正しい知識をお持ちですか?
ダイエットで大切なことは、健康を損なわずに体重を落とすことだと、内科医である私は考えていますが、巷では無茶なダイエット法もたくさん紹介されています。
今日は、今注目されている「糖質制限ダイエット」について、おすすめできる方法や、注意点などについて、科学的根拠に基づいてお話したいと思います。

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糖質制限ダイエットとは?

糖質制限ダイエットとは、その名の通り『糖質』を制限しながら行うダイエットのことです。
糖質とは、

・ご飯
・パン
・麺類(うどん、パスタ、中華麺など)
・その他の小麦製品(小麦粉を使用したお菓子類、中華まんや餃子の皮など)
・砂糖類

こういった食べ物に多く含まれています。
簡単に考えるなら、主食とお菓子には多く含まれている…というイメージですね。
最近、こうした糖質を制限するダイエットが流行しており、糖質オフの麺やパン、パスタ、ビールなど、「糖質オフ食品」もたくさん利用できるようになりました。

糖質制限ダイエットには、

・ゆるやかに糖質を制限するもの
・糖質の摂取を一切しない極端なもの

の両方があり、糖質の摂取を一切しない極端なダイエットの例では、「糖質さえ取らなければ焼肉でもなんでも食べ放題で痩せられる!」なんて方法がテレビなどで紹介されていることも。
糖質以外の食事制限なしという手軽さには、きっと多くの人が飛びついたことでしょう。
でも…こんな過度な報道を見ていると、医師としては心配な点も出てきます。

ゆず
糖質制限ダイエットをしてはいけない人もいるのになぁ。
過度な糖質制限のリスクについてもちゃんと言ってない。
ちょっと適当すぎでしょ!
こんな風にちょっとプリプリしながらテレビを見てしまうゆずなのでした。

特に、妊婦さんは絶対に糖質制限ダイエットをしないで下さい。
妊娠中の糖質制限ダイエットで、生まれてくるお子さんの知能低下を招く恐れがあるんです。
詳しくは本文中にも書いてあるので、読んでみてくださいね。

糖質制限では体脂肪は減らない!?糖質制限ダイエットの本当の効果

こんな風に書くと、
「ゆずは糖質制限ダイエットに反対なの?」
そう思ったかもしれませんが、答えはNo。糖質制限ダイエットにも、ちゃんと科学的に実証された効果はあるんですよ。

ここでは糖質制限ダイエットの効果について、

「芸能人の◯◯さんが取り組んだ結果、ジャーン8kgの減量に成功しました!」

こういう適当なのじゃなくて、ここは内科医らしく、ちゃんと科学的に検証されたデータをご紹介していきましょう。(医師は科学の子なのです。)
ただし、私がご紹介するのは極端すぎて長期的には全くお勧めできない「糖質摂取をゼロにする」タイプのもの(例:焼肉食べ放題だけど糖質はゼロに!みたいなダイエット)ではなく、「糖質の摂取量は抑えるけれど、あとはバランスよく摂る」タイプの糖質制限ダイエットのデータであることを、最初にお断りしておきます。

糖質制限食は食欲を抑える効果がある

食事の栄養素は、
・炭水化物(大雑把にいうと、炭水化物=糖質+食物繊維)
・たんぱく質
・脂質
の3つに分けられます。

糖質を抑えるということは、その分のカロリーをたんぱく質か脂質に置き換えるということなので、糖質制限食では食事に占めるたんぱく質と脂質の比率は上昇します。
たんぱく質や脂質の比率が上がると食欲は抑えられることが知られています。

また、糖質の摂取量を抑えると、血糖値を下げるためのホルモンである「インスリン」の分泌も少なくなります。
インスリンがたくさん分泌されると食欲が亢進してしまうので、糖質制限によりインスリン分泌が減ることも、食欲を抑えるためにプラスに働きます。

このように、たんぱく質・脂質の比率が上がることと、インスリン分泌が少なく抑えられることの2つのポイントから、糖質制限食は食べすぎてしまうのを防止する効果があると言えます。

糖質制限食では体重は落ちるが体脂肪は減りにくい

肥満のある患者さんを対象に、同じ摂取カロリーでダイエットをしてもらう試験が行われました。1つ目のグループは糖質制限グループ、2つ目のグループは脂質制限グループです。
しかも途中でグループのメンバーを入れ替え、たまたま痩せやすい人が割り当てられた…というような差が出ないようにするという念の入れようです。
この試験の結果からわかったことは…

・糖質制限グループの方が、体重減少効果は高かった
・糖質制限グループでは、体のたんぱく質が減少してしまい、脂肪は減りにくかった
・脂質制限グループの方が体重は減りにくかったが、体脂肪はしっかり減少した

体のたんぱく質が減少したということは、言い換えると筋肉量が低下したということです。
糖質制限食は手っ取り早く体重を減らすことはできるけれども、体脂肪を減らすためには、脂質制限食の方が効果が高いことがわかりました。

糖質制限ダイエットをする場合には、筋肉量の低下に注意して、しっかり筋トレなどを組み合わせる必要があるようですね。

糖質制限食では食後の高血糖が抑えられる可能性あり

食後にグーンと血糖値が上昇する主な原因は、糖質です。
糖質を制限し、脂質やたんぱく質から摂取するカロリーが増えると、急激な血糖値の上昇が抑えられるとされています。

ただし、これについては健康な方の場合の科学的なデータは不十分な面もあります。

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過度な糖質制限はガンのリスク?糖質制限で注意すべきリスクとは

では、糖質制限食で注意すべきリスクにはどのようなものがあるのでしょうか?
糖質制限をある程度の期間続けた場合に考えられる、リスクについて解説します。

ビタミンやミネラル、食物繊維が不足しやすい

炭水化物には、糖質の他に、食物繊維やビタミン、ミネラルも含まれています。
糖質を制限しすぎてしまうと、それらが不足してしまう恐れがあります。

糖質制限食で死亡率が高まる可能性がある

糖質をどれくらい摂取しているかと、死亡率の関係を、最大で26年間にわたって観察したデータが2010年に報告されました。そのデータでは、糖質制限の割合が高まるほど、全ての死因による死亡率が高いことが示されたのです。
糖質制限食で死亡率が高まってしまった原因は、どこにあるのでしょうか?

興味深いことに、死亡率が上昇してしまったのは、糖質を制限した分を動物性たんぱく(肉や魚など)で補っていたグループでした。
糖質を制限した分を植物性たんぱく(大豆など)に置き換えたグループでは、むしろ死亡率は低下していたのです。

たんぱく質摂取が多すぎると、臓器の負担が高まり、寿命は縮む可能性がある

40歳以下の健康な成人に一定期間だけ、高たんぱくの食事を摂ってもらい、様々な体の変化を観察した研究があります。
1日あたり2g/kg前後のたんぱく質を摂取してもらうと、

・血糖を下げるホルモン”インスリン”が効きにくくなる
・腎臓への負担が大きくなる
・骨からカルシウムが吸収される(骨がもろくなる可能性あり)

などの、好ましくない変化が起こることが報告されました。
この報告は主に欧米人での報告ですが、体格の小さな日本人ではこの好ましくない変化が強く出るのではないかと予想されています。

たんぱく質摂取が多すぎると、老化・がんのリスクがある

たんぱく質摂取が多すぎることは、細胞の老化を早め、がんで死亡するリスクも高めます。
アメリカで行われた大規模な研究では、たんぱく質の摂取量が多いグループでは、がんから死亡までの期間が短縮したという報告が。
たんぱく質の多い食事だと、がんになりやすく、がんにかかった後も早く死んでしまうということです。

がんと老化は違うんじゃない?と思うかもしれませんね。
実は、がんは細胞が老化して起こる病気とも言えるので、がんと老化は密接に関わりあった現象なんです。

細胞が老化したり、がんになった後の寿命が縮むことについては、たんぱく質を多く摂ると上昇してしまう、IGF-1というホルモンが関係していると考察されています。
このIGF-1というホルモンはがんの発育を促進してしまうんです。

ただし、このようながんリスクの上昇は、植物性たんぱく質を中心に摂っていたグループでは見られませんでした。

脂質を多く摂ると、動脈硬化が早く進むリスクがある

糖質を制限すると、自然と食事のカロリーで脂質が占める割合も上昇しますが、動物性の脂肪が多くなると、動脈硬化が進みます。
動脈硬化から引き起こされる、脳梗塞、脳出血、心筋梗塞などの病気にかかるリスクが高くなってしまうんですね。

特に、トランス脂肪酸と呼ばれる脂質は、動脈硬化を促進する悪い働きが強いことが知られています。トランス脂肪酸を多く含む、マーガリン、ファットスプレッド、ショートニングや、それらを原材料として作られた洋菓子の摂取は要注意です。

一方で、植物性の脂質(オリーブオイルなど)を中心に摂取したグループでは、動脈硬化が進みにくいというデータも出ています。

どんな糖質制限ダイエットなら効果的なの?

ここまでの科学的なデータをまとめると…

・糖質制限ダイエットは体重を落とす効果は比較的高い
・糖質制限では体脂肪より体たんぱく(筋肉など)が優先して落ちやすい
・糖質制限により食欲が抑えられるので、ダイエットは成功しやすい
・糖質制限をする場合、食物繊維やビタミン、ミネラルの不足に気をつける必要がある
・糖質制限の際、たんぱくや脂質を動物性のものに置き換えると、臓器への負担が増したり、動脈硬化、老化やがんを早めてしまうリスクがある
・糖質から置き換えるなら、植物性のたんぱく質や脂質にすると、動脈硬化、老化やがんのリスクが回避できる

こんな風になります。
これらの科学的根拠を踏まえて、どのような方法であれば糖質制限ダイエットが安全かつ有効に実践できるかを私なりに考察してみますね。

糖質はゼロではなく、控えめ程度にとどめる

糖質を全く摂らない方法だと、どうしてもたんぱく質と脂質の割合が高くなり、若い方でも臓器へ見えない負担がかかってしまいます。
糖質はゼロにするのではなく、全体のカロリーの半分以下くらい、低くても30%程度は摂取することを目安にするのが良いでしょう。

また、少ない糖質でより多くの食物繊維、ミネラル、ビタミンを摂取するためには、もち麦や発芽玄米などの雑穀を利用するのがおすすめです。
白米にもち麦や発芽玄米を混ぜて食べる習慣は血糖値の上昇を緩やかにする効果もあるので、おすすめです。

たんぱく質・脂質の摂取は植物性を意識する

糖質を制限した分は、たんぱく質・脂質からなる「おかず」からカロリーを摂取することになります。
糖質を制限した分、好きなだけお肉を食べるダイエットでは、健康を損なう恐れも。
大豆製品やオリーブオイルなど、植物性の良質なたんぱく質・脂質に置き換えを行うように気をつけましょう。

筋力低下に要注意!筋トレを組み合わせる

糖質制限ダイエットでは、体脂肪よりも先に体たんぱく(筋肉)が落ちるんでしたね。
筋肉量の低下は、基礎代謝(じっと動かず眠っていても消費されるカロリー)の低下にもつながり、カロリー消費が少なく太りやすい体を作り出してしまいます。

糖質制限を行う場合には、筋トレなどの筋力upにつながるトレーニングを並行して行い、筋力が低下しないように気をつけましょう。

合言葉は「Carb Last(カーボラスト)」

Carbは『炭水化物(carbohydrate)』のこと、Lastは『最後に』の意味です。

ご飯、サラダ、きんぴらゴボウ、焼き魚、豚汁の定食があったとしましょう。
この場合、”ご飯以外のサラダやおかずをまず食べて、ご飯は最後に食べましょう”というのが「Carb Last」です。

「Carb Last」は主に食後の高血糖を防ぐための食事療法の合言葉。
糖尿病患者さんへの食事療法にも積極的に勧められている食事指導ですが、ダイエットにも効果があることが知られています。

食後の高血糖があると、血糖上昇を抑えるためのインスリンの分泌が増えてしまいます。
インスリンは糖を体の細胞に押し込んで、血液中の糖=血糖値を下げる役割を持っているので、過剰にインスリンが分泌されると、どんどん糖が体の中に取り込まれて、太りやすくなってしまうんですね。

おかずの順番を入れ替えるだけの「Carb Last」、とても簡単なのでぜひ実践してみてください。

糖質制限ダイエットは期間限定にする

ダイエットに取り組む患者さんたちをみていると、糖質制限ダイエットにはまってしまって、ず〜っと糖質制限し続ける方がいらっしゃいますが、私はそれはおすすめしません。

糖質制限ダイエットには様々なリスクがあります。
リスクを回避するためには、良質な植物性たんぱく・植物性脂質を摂るのが良い方法なのですが、大体の方はできていないんですよね。

つまり、糖質を控える代わりに、お肉なんかを食べ過ぎてしまうんです。
おかずの食べ過ぎは、塩分摂取量の増加にもつながります。

先ほど説明したような老化やがんのリスクは、長期的に糖質制限を続けた場合が特に心配。
逆に、短期間にグッと痩せて、その後はバランスの良い食事に戻せるのであれば、リスクは小さくなると考えられます。
もし糖質制限ダイエットを行いたいのであれば、期間限定にするのがおすすめです。

妊婦さんの糖質制限ダイエットは胎児の知能低下を招く恐れ

ここまで、糖質制限ダイエットの良い点、悪い点、そしてより健康的に糖質制限ダイエットに取り組んでいただくためのポイントについてお話ししてきました。
…が、最後にどうしても伝えておきたいことがあります。

妊婦さんは絶対に糖質制限ダイエットはしないで下さい。

糖質制限ダイエットを行うと、体は不足したカロリーを補うために筋肉などのたんぱく質や脂肪を分解してエネルギーを作り出します。
たんぱく質や脂肪が分解され、消費されることで、体重が減るんですね。

たんぱく質や脂肪を分解すると、多かれ少なかれ、『ケトン体』という物質が体内で作られます。近年ケトン体は代謝に対してよい効果があるのでは?と注目されている分子でもあります。

妊娠後期になると、妊婦健診で「体重が増えすぎですね、気をつけて下さい。」なんて先生や助産師さんに言われがち。
でも、体重のコントロールのために糖質制限ダイエットに取り組むのだけは、絶対にやめて下さい。

その理由は2つあります。
1つ目は、妊娠後期にお母さんの体でケトン体が多く産生されると、生まれたお子さんの知能が低下するというデータが発表されています。
2つ目は、妊娠中は腎臓への負担が大きくなり、蛋白尿が出やすい時期です。そういう時期に、腎臓にさらなる負担をかける「高たんぱく食」になりがちな、糖質制限は全くお勧めできません。

これらのデータは、今後様々な検証により変わることもあるかもしれませんが…
この記事を書いている時点では、妊婦さんの体重のコントロールは、「バランスの良い食事」「適度な運動」(運動をして良い場合に限る)で行うことが最善です。
安易なダイエットの仕方で、お腹の赤ちゃんやお母さんの体をリスクにさらすことのないよう、気をつけて下さいね。

まとめに

糖質制限ダイエットは、食欲が抑えられるので成功しやすいダイエットでしょう。
しかし、長期的に続けることで、臓器への負担、老化やがんのリスク上昇、動脈硬化の進行といった、様々なリスクもはらんでいます。

・過度な糖質制限は避ける
・植物性のたんぱく質や脂質に置き換えるよう心がける
・筋力upのためのトレーニングを組み合わせる

このような点に注意して、取り組んでいただければと思います。
また、

・妊婦さんは絶対にやめておいて!

これは今回の記事ですごく伝えたかったことです。
ママとお腹の赤ちゃんのために、妊婦さんはバランスの良い食事を摂るようにして下さいね。

あなたが健康的に糖質制限ダイエットに取り組んでいただくために、この記事がお役に立てれば幸いです。

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