インフルエンザで起こる子どもの異常行動。転落死を防ぐための5つの対応策とは?内科医ママが解説します。

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こんにちは。
現役内科医ママの、ゆずです。

今年もとうとうインフルエンザが流行期に入りました。
2017年はワクチンの供給も十分ではなく、流行が心配です。
11月末時点でのデータでは、今インフルエンザに罹っている患者さんの90%以上は、9歳以下の小さなお子さんでした。

お子さんがインフルエンザに罹った時、心配なのが「異常行動」。
突然マンションのベランダから飛び降りて、お子さんが大けがをしたり、亡くなったり…といった、痛ましい事故も報告されています。
今日は、お子さんがインフルエンザに罹った時、異常行動による転落死を防ぐために

・異常行動が起こる原因
・異常行動が起こりやすい年齢と時期
・具体的な対応策

これらについて、解説したいと思います。

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インフルエンザで異常行動が起こる原因は?

インフルエンザで異常行動が起こる原因として、推定されていることは主に以下の3つです。

・高熱による脳の機能障害
・インフルエンザ脳症の前兆の症状
・抗インフルエンザ薬の副作用

これらの内、どれが本当の原因なのかははっきり解明されていません。
どれも正しいという可能性もあるのですが、現時点では抗インフルエンザ薬を内服していた方と、内服していなかった方で異常行動の頻度があまり変わらなかったことから、インフルエンザに罹ってしまったことに原因があるのでは?という考え方が有力です。

このように、原因がはっきり解明されていないインフルエンザで起こる異常行動ですが…
確実に言えることは

インフルエンザの異常行動は、インフルエンザに罹った人なら抗インフルエンザ薬を使用している/いないに関わらず、起こす可能性がある

ということ。

インフルエンザに罹った場合は、どんな人でも異常行動には注意しなければなりません。

インフルエンザで異常行動が起こりやすい年齢・性別は?

インフルエンザに罹った時、異常行動が起こりやすいのはお子さんです。
昨シーズン(2016/2017年シーズン)の報告では、

・異常行動が起こった平均年齢は10.2歳
・異常行動が最も多かった年齢は13歳
・男性が81%、女性が19%と、男児に多い

という統計結果が出ました。

2006年からの10年分のデータを見てみると、1歳から20歳代までの広い年齢に分布しており、例年5歳〜14歳くらいまでは例年異常行動が多い様です。
統計データからは、小学校前くらい〜中学校位のお子さんで、男の子は特に注意が必要だということがわかります。

(厚生労働省『インフルエンザ罹患に伴う異常行動研究』よりデータを抜粋)

インフルエンザの異常行動が出やすいのはいつ?

インフルエンザの異常行動が出やすい時期についても、統計データをご紹介しますね。
異常行動が出た時期は、2016/2017年シーズンでは

・発熱後1日以内…34.6%
・発熱後2日目…48.1%
・発熱後3日目…17.3%

であり、発熱前や発熱から4日目以降に異常行動が出た患者さんはいませんでした。

発熱した日から3日間、しっかり様子をみてあげることが重要です。

(厚生労働省『インフルエンザ罹患に伴う異常行動研究』よりデータを抜粋)

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インフルエンザの異常行動による怪我や死亡事故を防ぐために、ご家庭でとるべき対策5つ

インフルエンザは多くの患者さんで、治癒する病気です。
治る病気だけに、異常行動のために大けがをしたり、転落により亡くなったりする患者さんがいるのは、本当に残念なこと。できる限り予防していかなければなりません。

厚生労働省からは、インフルエンザの異常行動による悲しい事故を防ぐための注意喚起がこれまでにも出ていたのですが、2017年11月末にさらなる追加事項が発表されました。
ここでは厚生労働省からの注意喚起に基づいて、異常行動による怪我や死亡事故を防ぐための対策5つをわかりやすくご紹介します。

【対策1】子どもがインフルエンザに罹ったら、一人にしない

子どもや未成年者がインフルエンザに罹ったら、抗インフルエンザ薬使用の有無、使用している場合にはお薬の種類に関わらず、治療開始後2日間は一人にしないようにします。

先ほどご紹介した2016/2017年シーズンのデータでは、発熱後4日目以降には異常行動の報告がありませんでした。
共働きのご家庭など、何日も仕事を休めない…といった事情はあると思いますが、

お留守番ができる年齢でも、治療開始後2日間はお子さんを一人にしない

こちらをしっかり実践していただきたいなと思います。

【対策2】玄関や窓の鍵を確実に閉める

異常行動を起こしている時のお子さんには、

・恐怖の感覚にとらわれている
・何かに追いかけられるなどの幻視、幻覚が起こっている
・急に怒ったり泣いたり、時に笑ったりする
・食べ物ではないものを食べようとする
・つじつまの合わないことを喋る

このような症状が見られることが報告されています。
高所から飛び降りたり、階段から転げ落ちたりしたケースでは、幻覚・幻視により「何かに追いかけられて、恐怖に駆られて夢中で逃げた」という体験をしているケースがあるようです。

このような幻覚・幻視の症状が起こった場合にお子さんが転落したり、家の外へ出てしまうのを防ぐため、開けてはまずい扉や窓の鍵はしっかり施錠しましょう。
また、二重ロックが付いている場合には、必ず二重ロックを使用するのがお勧めです。

【対策3】ベランダに面していない部屋で寝かせる

幻覚や幻視の症状が起こり、お子さんがとっさに何かから逃げようとするような行動を取った時、ベランダからの転落を防ぐためには、そもそもベランダに面していない部屋で寝かせる事も効果があります。

普段お子さんが寝ている部屋にベランダがある場合、寝具をベランダのない部屋に移すことが勧められます。

【対策4】窓には格子がついている部屋で寝かせる

こちらも、理由は対策3と同様ですね。
窓からの転落を防ぐためには、簡単に転落してしまう様な窓のある部屋に寝かせることを避ける必要があります。
お子さんを寝かせる部屋は、飛び降りられる様な窓のある部屋を避け、格子がついている窓の部屋か、窓のない部屋を選ぶことが勧められます。

【対策5】1階の部屋で寝かせる

一戸建ての場合には、そもそも高所から転落しない様に1階で寝かせるのも良いでしょう。
また、一戸建てに限らず、マンションでもメゾネットの様な感じで階段があるケースが考えられますが、階段からの転落事故も報告されているため、いずれにしても下の階に寝かせるのが勧められます。

インフルエンザに罹った時のその他の対処法は?

インフルエンザに罹ってしまった時のその他の対処法や、抗インフルエンザ薬についての詳しい解説は、

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また、熱が下がった後の登校基準については、

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こちらでご紹介していますので、あわせて参考にしてみてくださいね。

もし異常行動が起こったら…それは重症化の前兆である可能性も!

もし異常行動が起こっても、一過性に熱にうかされた様な状態になっただけで、すぐに改善するというケースもあります。
しかし、重篤な合併症であるインフルエンザ脳症の前兆の症状である可能性があるため、十分な注意が必要です。

インフルエンザ脳症とは、主に5歳以下のお子さんで起きやすい、インフルエンザの重篤な合併症です。インフルエンザの発病後に急速に症状が進行し、発症すると30%が命を落とし、25%に後遺症が残ります。
インフルエンザウイルスそのものが脳にダメージを与えるというよりは、インフルエンザウイルスに対して急激に起こった免疫の過剰な応答が全身で強い炎症を起こし、脳を傷つける…そんな状態だとされています。

インフルエンザ脳症の前駆症状で見られる異常行動の例は、以下の通りです。(インフルエンザ脳症ガイドラインより)

1.両親がわからない、いない人がいると言う(人を正しく認識できない)。
2.自分の手を噛むなど、食べ物と食べ物でないものとを区別できない。
3.アニメのキャラクター・象・ライオンなどが見える、など幻視・幻覚的訴えをする。
4.意味不明な言葉を発する、ろれつがまわらない。
5.おびえ、恐怖、恐怖感の訴え・表情
6.急に怒りだす、泣き出す、大声で歌いだす。

お子さんの異常行動が断続的に1時間以上続く場合や、意識障害(うとうと・朦朧としている状態)を伴う場合には、すぐに医療機関を受診し適切な診断・治療を受ける必要があります。

まとめに

今日はインフルエンザで起こる異常行動について、その症状と対策について詳しくご紹介しました。

・子どもがインフルエンザに罹ったら、一人にしない
・玄関や窓の鍵は確実に施錠
・ベランダに面した部屋には寝かせない
・転落の危険がある窓に面した部屋には寝かせない
・1階で寝かせるようにする

このような対策をしっかり行って、万が一異常行動が起こった場合にも悲しい事故が起こらないようにしましょう。
また、異常行動は重篤な合併症であるインフルエンザ脳症の前兆である可能性があるため

・異常行動が起きたらしっかりと様子を見る
・症状が続く場合は医療機関を受診する

こんな点に気をつけて、診断・治療が遅れないようにしてあげてくださいね。

少しでも多くの方が元気に冬を乗り越えられるよう、この記事がお役に立てれば幸いです。

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