抗インフルエンザ薬は、子どもや妊娠中・授乳中に飲んでも大丈夫?現役内科医ママがお答えします!

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こんにちは。
現役内科医ママの、ゆずです。

インフルエンザと診断された時、処方されるのが抗インフルエンザ薬。
あなたは抗インフルエンザ薬のこと、どう思いますか?

「とにかく早く治したいから、処方してほしい」
「副作用が怖いから、できれば飲みたくない」
「子どもに飲ませるのは心配」

色々な意見があると思います。
今日は、抗インフルエンザ薬について子育て中のママが知りたい疑問に、現役内科医としてお答えします。

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抗インフルエンザ薬の種類と特徴

現在主に使用されている抗インフルエンザ薬は、ノイラミニダーゼ阻害薬というタイプの、ウイルスの増殖を抑える効果を持ったお薬です。

・タミフル(内服薬)
・リレンザ(吸入薬)
・イナビル(吸入薬)
・ラピアクタ(点滴薬)

の4種類が、A型・B型両方のインフルエンザに効果があるお薬として市販されています。

抗インフルエンザ薬の特徴

4種類のお薬は、どれも大人にも子どもにも処方することができます。
それぞれのお薬の特徴を簡単にまとめてみましょう。

1. タミフル

タミフルはA型・B型に効果があるタイプの中では唯一の内服薬になります。1日2回、5日間内服します。
大きな特徴は「投与できる年齢」。
タミフルは1歳未満の赤ちゃんでも投与できることが特徴です。一方で、一時期異常行動が相次いで報告された経緯から原則10歳以上の未成年者(10歳〜19歳)には投与しません。
また、その年に流行するインフルエンザの種類によっては、タミフルが効かない(耐性)タイプのインフルエンザが流行することがあり、注意が必要です。
後で詳しく解説しますが、妊娠中の方や授乳中の方へも比較的安全に使用できるという特徴があります。

2. リレンザ

大人も子どもも使用できる吸入薬です。1日2回、5日間投与します。
年齢制限がないため使用しやすいですが、吸入薬なので、ちゃんと吸える方でないと処方ができません。
ちゃんと吸入できなければ効果が得られないため、4歳位までのお子さん、呼吸が苦しい症状が出ている方、認知症のある高齢者などには、確実にお薬が届くようタミフルの内服を選択します。
耐性が報告されていないことも特徴です。(2017年11月1日現在)
ただし、乳糖が使用されているため、乳製品アレルギーの方は注意が必要です。

3. イナビル

大人も子どもも使用できる、吸入薬です。1回だけの投与です。
イナビルもリレンザと同様に、大人も子どもも使用できる吸入薬で、やはり確実に吸入できる方にだけ処方します。
後で詳しく解説しますが、妊娠中の方や授乳中の方へも比較的安全に使用できるという特徴があります。
また、耐性が報告されていないことも特徴です。(2017年11月1日現在)
ただし、乳糖が使用されているため、乳製品アレルギーの方は注意が必要です。

4. ラピアクタ

大人も子どもも使用できる点滴のお薬です。
内服・吸入のどちらもできない患者さんが投与の対象となり、原則入院で投与します。
肺炎などの呼吸器合併症を併発した、重症の患者さんへ投与することが多いです。

※耐性の報告については国立感染症研究所のデータを参考にしています。リンクからは最新データも確認できます。

抗インフルエンザ薬の使い分け

ご紹介した4種類の抗インフルエンザ薬を、医師は使い分けています。
では、ゆずの目を通して、ちょっとだけお医者さんの頭の中をのぞいて行ってください。

※できる限り、論文のデータや学会の提言などを参考に診療を行なっているつもりですが、ゆず個人の意見であることを先にお断りしておきます。

まず、
・耐性の報告がない
・妊娠中や授乳中でも比較的安全性が高い
・1回の投与で済む
という点から、確実に吸入できて、乳製品のアレルギーがない方へは、私は基本的にイナビルを処方しています。
リレンザを選ばない理由は、患者さんが1日2回、5日間の吸入をちゃんとしてくれるかわからないから。(結構忘れたり、途中でやめたりしちゃうんですよね…)
確実に投与するために、1回で済むイナビルを処方して、

ゆず
もらったらすぐ、薬局で吸入しちゃってください!
と説明するようにしています。

ちゃんと吸入ができない方へはタミフルを、重篤で入院治療が必要な方へはラピアクタを選択しています。

吸入タイプの薬(リレンザ・イナビル)について、少し補足を。
お子さんが吸入ができるかどうかについては、日本小児科学会から目安が出ています。

・1〜4歳は吸入困難と考える(→タミフルが推奨)
・5〜9歳は吸入できると判断された場合に限る(→吸入できない子はタミフルが推奨)
・10歳以上はリレンザ・イナビルの処方を推奨する

タミフルが使用できない10歳以上のお子さんや、5〜9歳でしっかり吸入ができると判断されたお子さんには、吸入タイプのお薬が良いと考えるといいでしょう。

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抗インフルエンザ薬を処方する目的とは?

抗インフルエンザ薬を医師が処方するのは、実はインフルエンザを早く治すためではありません。

…これ、ちょっと意外に思ったのではないでしょうか。

私たちが抗インフルエンザ薬を処方しているのは、インフルエンザの重症化を予防したり、感染の蔓延を防ぐためです。
感染が蔓延すれば、重症化しやすい妊婦さんや小さなお子さん、持病を抱えた方が感染してしまうリスクが増してしまいますからね。

心情的にはもちろん「早く良くなるといいですね」と心から思っていますが、医学的には、”周りにうつさず、重症化せずに治ってくれるなら、早く治るかどうかはどっちでもいい”ということになります。

”あなたやお子さんが抗インフルエンザ薬を服用するのは、あなたやお子さんの症状が重症化するのを防ぐためだけでなく、重症化リスクのある方への感染を防ぐためでもある。”

これはぜひ頭の片隅に入れておいて下さい。
この考え方は国や地域という大きなコミュニティーでなくても、家庭などの小さなコミュニティーにも当てはまります。
インフルエンザをうつしたくない妊婦さんや乳幼児、高齢の方がいるご家庭では、たとえかかった本人が重症化リスクを抱えていなくても、抗インフルエンザ薬を使用するといいですね。

抗インフルエンザ薬は発熱から48時間以内が大切!

抗インフルエンザ薬は、インフルエンザのウイルスがこれ以上増殖しないようにするためのお薬です。(正確には、細胞の外に出てこない様にするお薬です。)
ウイルスが外に出てきて暴れるのを抑えることはできますが、すでに体の中で作られて、出てきてしまったウイルスを減らす効果はありません。
一般的に48時間以上が経過してしまうと、インフルエンザのウイルスはもうすっかり増えきってしまっているので、抗ウイルス薬を使っても効果が出にくいとされています。

48時間以内にお薬の処方が受けられるように、早めの受診を心がけるといいですね。
ただし。発熱から12時間以内はインフルエンザの検査が受けられないケースもあるので、ご注意を。

また、病状によっては48時間以上が経過してしまっても、抗インフルエンザ薬を投与した方が良いと判断するケースがあります。例えば、妊娠中など重症化リスクの高い方や病状が重い方などです。
48時間が経過していても医師からお薬を勧められた場合、”それでも処方する理由”がある可能性がありますので、安易に断らないようにして下さいね。

抗インフルエンザ薬の副作用

子育て中のママが一番気になるのは、副作用ではないでしょうか。
お子さんに使用する場合や、妊娠中・授乳中に処方された場合には、特に気になりますよね。
ここでは、抗インフルエンザ薬の一般的な副作用と、お子さん、妊娠中・授乳中の方への安全性に関する情報をお伝えします。

抗インフルエンザ薬の一般的な副作用

抗インフルエンザ薬の代表的な副作用は、

・下痢
・吐き気、嘔吐
・腹痛

などの、消化器症状です。これは、インフルエンザそのものからくる症状との区別がつきにくいケースもあります。
その他、頻度の低い、または関連がはっきりしない副作用は色々と報告があります。
また、ごく稀ですが

・アナフィラキシー
・中毒性表皮壊死融解症

といった、強いアレルギー症状を起こした方の報告があります。
特に、リレンザ、イナビルは乳糖を含んでいますので、乳製品にアレルギーをお持ちの方は注意が必要です。

子どもには飲ませた方がいいの?

一時期、タミフルを内服していたお子さんが高所から転落するなどして亡くなる、悲しい事故が相次ぎ、このような異常行動が報告されたことを受けてタミフルは10歳以上の未成年者には原則投与しない方針となりました。

しかし、このような異常行動はタミフルを内服していなかったインフルエンザのお子さんにも見られることが判明しています。
現在は異常行動はタミフル内服により引き起こされたのではなく、インフルエンザに罹ったことと関連しているという説が有力です。

幼児や持病のあるお子さんは重症化しやすく、原則として抗インフルエンザ薬を投与することが推奨されていますので、処方されたら内服・吸入することをお勧めします。
また、抗インフルエンザ薬の投与の有無に関わらず異常行動は見られているため、お子さんがインフルエンザになってしまった時には、お留守番ができる年齢でも一人にしないことが重要です。

インフルエンザで起こる異常行動については、

【インフルエンザで起こる子どもの異常行動。転落死を防ぐための5つの対応策とは?内科医ママが解説します。】

インフルエンザで起こる子どもの異常行動。転落死を防ぐための5つの対応策とは?内科医ママが解説します。
こんにちは。 現役内科医ママの、ゆずです。 今年もとうとうインフルエンザが流行期に入りました。 2017年はワクチンの供給...

こちらの記事で詳しく解説していますので、あわせて参考にしてみて下さい。

妊娠中、授乳中でも安全に使用できる?

薬剤の添付文書が簡単にインターネット上で見られるようになり、患者さんの不安が煽られてしまっているな…と感じる場面が多々あります。
特に、妊娠中、授乳中の方は赤ちゃんを心配して一生懸命調べてきている方も多いです。

抗インフルエンザ薬の添付文書には大抵、

( 1 )妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の 有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与す ること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。 また、動物実験(ラット)で胎盤通過性が報告されている。]

( 2 )授乳婦に投与する場合には授乳を避けさせること。[動物 実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている。]

イナビル添付文書より

このような記載があります。
これを読むと、大抵のママはお薬を使うことに抵抗を覚えるのではないでしょうか。

日本産婦人科学会では、妊娠中にインフルエンザに罹ってしまい、イナビルやタミフルの投与を受けた方から生まれたお子さんについて調査を行い、

イナビル、タミフルの投与を受けた場合に出生児への有害事象の増加はなかった

と報告しています。
むしろ妊娠中はインフルエンザが重症化しやすいため、抗インフルエンザ薬は積極的に使用することが勧められている程です。
妊娠中の方は、かかりつけの産科の先生に相談をして処方を受けるようにして下さい。

また、イナビルについては母乳への移行は少ない(検出できなかったという調査結果もあり)とされており、授乳を制限することなく安心して使用できる薬剤の一つです。
タミフルについても日本産婦人科学会より授乳を制限する必要はないとの提言があります。
産後間もないママも免疫力が低下していますので、授乳中でも抗インフルエンザ薬の使用が勧められます。
この場合、赤ちゃんにインフルエンザをうつさない様にするため、マスク、手洗い等の対策は必ずして下さい。

抗ウイルス薬以外のインフルエンザの対処法

インフルエンザにかかってしまった時のその他の対処法については、

【子どもがインフルエンザで高熱に!正しい受診のタイミングと対処法を内科医ママが解説します】

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こんにちは。 現役内科医ママの、ゆずです。 冬はインフルエンザが流行する季節ですね。 インフルエンザはウイルスによって引き...

こちらの記事もあわせて読んでみて下さい。

インフルエンザ関連の記事をまとめてチェック!

当サイトには、インフルエンザ関連の記事が複数あります。

・インフルエンザの予防接種は受けた方がいいの?
・粉薬を飲んでくれないお子さんへの対処方法
・出席停止期間はいつまで?
・2017/2018年シーズンで異例の流行中の「インフルエンザB型」の特徴は?

など、インフルエンザ関連の記事をまとめました。

【インフルエンザ特集!インフルエンザの予防から罹った時の対処法までを現役内科医ママが解説します】

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こんにちは。 現役内科医ママの、ゆずです。 インフルエンザが流行する季節になりましたね。 2017年は例年より早く、12月...

こちらの記事から、ご家庭にあったお悩みの解決方法をチェックしてみて下さいね。

まとめに

今日は、インフルエンザにかかってしまった時に処方される”抗インフルエンザ薬”について詳しくお話ししました。

・主な抗インフルエンザ薬は4種類あり、患者さんによる使い分けがある
・抗インフルエンザ薬は病気の重症化を防ぐだけでなく、周囲への感染を防ぐ役割もある
・抗インフルエンザ薬は発熱から48時間以内に開始することが重要
・抗インフルエンザ薬は子ども、妊娠中・授乳中の方でも使用が推奨される

この様なポイントを押さえて、安心して適切にお薬を使用する様にして下さいね。

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