子どもがインフルエンザで高熱に!正しい受診のタイミングと対処法を内科医ママが解説します

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こんにちは。
現役内科医ママの、ゆずです。

冬はインフルエンザが流行する季節ですね。
インフルエンザはウイルスによって引き起こされる”風邪”の一種ではありますが、感染力が高い上、高熱が出るだけでなく、重症化した時の脳症が怖い病気です。
今日はインフルエンザに罹った時の対処法について、詳しくお伝えします。

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もしかしてインフルエンザ?インフルエンザの症状とは

インフルエンザの一般的な症状は、

・発熱(高熱となることも)
・咽頭痛
・頭痛
・関節痛
・寒気
・全身倦怠感

などです。これらに加えて、

・咳
・鼻水
・痰

などの、のど・鼻の炎症症状(上気道炎の症状)や

・腹痛
・吐き気・嘔吐
・下痢

などの、お腹の症状(胃腸炎の症状)を伴うこともあります。

高熱が出るというイメージが強いインフルエンザですが、中には症状が軽く、微熱と鼻水程度という患者さんもいらっしゃいます。
ですので、インフルエンザを疑う時のポイントは、症状に加えて

・インフルエンザが今流行しているか
・インフルエンザの患者さんとの接触があったか

という点も大切になります。
インフルエンザの流行時期は、例年は1月〜2月頃がピークですが、2014年のように12月から流行することもたまにあるので、お住いの地域のその年の流行情報に注意してください。

以下のリンクより国内、東京都のインフルエンザの流行状況がチェックできます。

国立感染症研究所 インフルエンザ流行レベルマップ
東京都感染症情報センター「インフルエンザ」

インフルエンザを疑った時の受診のタイミング

お子さんが朝から高熱で、インフルエンザかもしれない…と朝一番で病院を受診したのに、病院で

先生
まだ熱が出てから数時間しか経ってないから、インフルエンザの検査はできません。
風邪の薬を出しておきますので、心配ならまた来てください。
なんてつれなく言われた経験、ありませんか?

発熱から12時間後くらいが受診のタイミング

冬の時期、お子さんが高熱を出したら真っ先に疑うのがインフルエンザ。
鼻の奥を綿棒でこする「インフルエンザ迅速検査」は、5〜10分程度でインフルエンザの判定ができる便利な検査です。しかし、インフルエンザの症状が出始めたばかりの初期の頃はインフルエンザウイルスの量がまだ少なく、検査キットで検出できません。
「まだ検査ができない」と言われてしまうのは、このためだったんですね。

では、いつ頃受診すれば良いのでしょうか?
一般的には38℃以上の発熱がみられてから12時間位経過すれば、約90%の患者さんでインフルエンザウイルスが検出できるとされていますので、発熱から半日程度みて、受診するのが良いでしょう。

ただし、半日程度様子を見ましょう…というのは、お子さんが比較的元気な場合です。
ぐったりとして元気がない、極端に機嫌が悪いなどの兆候がある場合には、すぐに医療機関を受診してくださいね。

48時間以内でないと抗ウイルス薬は効果がない

「高熱が出て、風邪かと思って様子を見たんですけど、なかなか熱が下がらなくて」

そうおっしゃって、3日以上経ってから外来を受診される方もいらっしゃいます。
検査ではインフルエンザ陽性。
しかし、このケースでは患者さんが希望されても抗ウイルス薬は処方しません。
なぜなら、抗ウイルス薬は発熱から48時間以内でないと、効果を発揮しないからです。

インフルエンザに対して処方される抗ウイルス薬(タミフル、イナビル、リレンザなど)は、インフルエンザのウイルスがこれ以上増殖しないようにするためのお薬です。
増殖を抑えることはできますが、すでに体の中で作られてしまったウイルスを減らす効果はありません。
一般的に48時間以上が経過してしまうと、インフルエンザのウイルスはもうすっかり増えきってしまっているので、抗ウイルス薬を使っても効果が出ないんです。

インフルエンザの抗ウイルス薬の処方を希望する場合、発熱から12時間後くらいに受診し、なるべく早く抗ウイルス薬を内服するのが、理論的には最も薬の効果が期待できる方法です。

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インフルエンザで子どもが高熱!どう対処する?

子どもが高熱を出すと、すごく心配になりますよね。
ここでは、インフルエンザでお子さんが高熱を出した時の対処方法について解説します。

体を冷やす

寒気が来ているときはNGですが、お子さんが嫌がらないようなら、首や足の付け根、脇の下などの太い血管が走っている部位を、冷やしてあげましょう。
冷やす時には、ほんのり冷たいくらいでOKです。凍らせた保冷剤を乾いたタオルで包んで使うと良いですね。

解熱剤の種類と飲ませすぎに注意!

インフルエンザの場合、飲んでも良い解熱剤と、飲むことが勧められない解熱剤があります。飲んでも良いのは「アセトアミノフェン」という成分の解熱剤。
特に小さなお子さんの場合は体重によって量を調節しますから、安易に市販薬を買って飲ませるのではなく、病院で処方されたものを内服しましょう。

また、発熱は体温を上昇させて体の免疫を活性化させるという役割も担っています。
過剰に解熱剤を使って体温を下げすぎるのはNG。決められた用法・容量を守ることが大切です。

38℃程度の熱があってもお子さんが元気なら、使わずに様子を見てもいいでしょう。
逆に、同じ体温でもぐったりして食事や水分が取れなくなるようなら、解熱剤を利用して熱を下げ、しっかり水分が取れるようにしてあげてください。

ママの場合には、鎮痛成分が「アセトアミノフェン」だけの解熱鎮痛薬であれば、市販薬でも大丈夫です。
ただし、市販の鎮痛薬にはアセトアミノフェン+別の鎮痛成分という複数の鎮痛成分を組み合わせたタイプのものもあるので、選ぶ時には薬剤師さんに相談すると安心ですね。

また、市販薬の場合には同じ名前の薬でも成分が全く異なるケースがあります。
例えば、「バファリン」ならアセチルサリチル酸、アセトアミノフェン、ロキソプロフェンなど、「バファリン◯◯」の◯◯の部分の違いによって成分が全く違うんです。

「バファリン買ってきて〜」とお願いしたら、全然違う成分だった…なんてことも考えられますので、注意してくださいね。

市販薬を使いたい場合には、

【内科医直伝】インフルエンザ、安易な市販薬の内服は危険!?自力で治す場合におすすめの2つの薬を紹介します

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こちらの記事も参考にしてみて下さいね。

大人向けではありますが、おすすめの市販薬を紹介しています。

脱水にならないよう、水分補給はしっかりと

高熱が出ると、特にお子さんは脱水になりやすくなりますので、こまめな水分補給が大切です。
脱水があると、熱も下がりにくくなります。

水分補給は基本的にはお子さんが飲んでくれる飲み物で良いと思いますが、経口補水液、イオン飲料、少し薄めたスポーツドリンクなどがお勧めです。さっぱりとした味のお吸い物のようなものも良いですね。

吐き気・嘔吐や腹痛など、お腹の症状が出ている場合には、果汁飲料(ジュースなど)や牛乳などは症状を悪化させる可能性があるため避けた方が無難です。

脱水になっていないかを知る一番簡単な方法は、おしっこを観察すること。
尿の回数が極端に少ない、出た尿の色が異様に濃い、そんな時は脱水のサインです。

脱水のサインに気づいた時、お子さんが比較的元気で、勧めればどんどん飲んでくれて、おしっこが出てくる場合は様子を見てOKです。もし水分が摂れない場合には、特に小さいお子さんではこの時点で受診が必要です。

尿の回数や量、色などを観察しながら、お子さんにこまめに水分を勧めるようにしてくださいね。

抗ウイルス薬(タミフル、リレンザなど)は必要?

外来を受診される患者さんを見ていると、

患者さん
とにかく早く楽にしたいから抗ウイルス薬を出してほしい
という患者さんと
患者さん
副作用が怖いから、抗ウイルス薬は出さないでほしい
という患者さんの両方がいらっしゃいます。

どちらの気持ちもよくわかります。
基本的には、抗ウイルス薬なしでも多くの人が自然に良くなる病気なので、処方はケースバイケースになるでしょうね。

重症化するリスクが一般よりも高い、5歳未満(特に2歳未満)の乳幼児には、抗ウイルス薬の投与が推奨されています。

また、妊婦さんがインフルエンザにかかった場合、重症化のリスクがあります。
抗ウイルス薬は妊娠中でも内服が可能
ですので、処方された場合には怖がらず内服(吸入)するようにしてくださいね。

そして、処方された薬は用法・用量を守って内服(吸入)するようにしましょう。

抗ウイルス薬については、

【抗インフルエンザ薬は、子どもや妊娠中・授乳中に飲んでも大丈夫?現役内科医ママがお答えします!】

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こちらの記事に詳しく解説していますので、あわせて読んでみて下さい。

異常行動に注意!

インフルエンザにかかった時、特にお子さんでは異常行動が出ることが報告されています。理由もわからず、高所から飛び降りてしまったという痛ましい事故もありました。

異常行動は、一時期は抗ウイルス薬の副作用ではないかとも言われていましたが、現在はインフルエンザという病気そのものから起こるとされています。
お子さんがインフルエンザにかかった時は、お留守番ができる年齢であっても家で一人にすることは避けた方が無難でしょう。

また、異常行動が見られた場合には、インフルエンザ脳症の前兆である可能性があるため、必ず病院を受診してください。

インフルエンザで起こる異常行動については、

【インフルエンザで起こる子どもの異常行動。転落死を防ぐための5つの対応策とは?内科医ママが解説します。】

インフルエンザで起こる子どもの異常行動。転落死を防ぐための5つの対応策とは?内科医ママが解説します。
こんにちは。 現役内科医ママの、ゆずです。 今年もとうとうインフルエンザが流行期に入りました。 2017年はワクチンの供給...

こちらの記事で詳しく解説していますので、参考にしてみて下さい。

インフルエンザ関連の記事をまとめてチェック!

当サイトには、インフルエンザ関連の記事が複数あります。

・インフルエンザの予防接種は受けた方がいいの?
・粉薬を飲んでくれないお子さんへの対処方法
・出席停止期間はいつまで?
・2017/2018年シーズンで異例の流行中の「インフルエンザB型」の特徴は?

など、インフルエンザ関連の記事をまとめました。

【インフルエンザ特集!インフルエンザの予防から罹った時の対処法までを現役内科医ママが解説します】

インフルエンザ特集!インフルエンザの予防から罹った時の対処法までを現役内科医ママが解説します
こんにちは。 現役内科医ママの、ゆずです。 インフルエンザが流行する季節になりましたね。 2017年は異例のB型が大流...

こちらの記事から、ご家庭にあったお悩みの解決方法をチェックしてみて下さいね。

まとめに

今日はインフルエンザにかかったらどうしたらよいかについてを解説しました。

・インフルエンザの症状は高熱が出ることが多いが、風邪と似ている
・インフルエンザが流行しているかや、インフルエンザ患者さんと接触したかが大切
・発熱から12時間後くらいが受診のタイミング
・発熱には体を冷やす方法も。解熱剤は用法・用量を守って!
・発熱から48時間以内でないと抗ウイルス薬は無効
・抗ウイルス薬は処方されたら用法・用量を守って内服を
・お留守番できるお子さんでも、できるだけ一人にしない

もしインフルエンザにかかってしまった時に、参考にしていただければ幸いです。

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