【内科医ママが教える】授乳中にも使える花粉症のお薬と、病院で処方してもらうコツ

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こんにちは。
現役内科医ママの、ゆずです。

花粉症がつらい季節になりました。
毎年、点眼や点鼻だけでは症状が辛くて、お薬を飲んでいる方も大勢いらっしゃいますが、心配になるのが授乳中の場合です。

私は花粉症持ちなのですが…

・授乳中に鼻水が垂れても拭けずに困る
・授乳中にくしゃみが出て、赤ちゃんがおっぱいを飲むのをやめた
・授乳中のくしゃみに驚いた赤ちゃん、うとうとしていたのに目がパッチリ…

なんて経験を実際にしています。
授乳中の花粉症は、そうじゃない時よりもずっと不便なんです。

でも…お薬、心配ですよね?

あなたは授乳中だからと、花粉症のお薬を諦めていませんか?

赤ちゃんが心配だから、辛いけど今年は我慢しよう…

こんな風に考えるママはたくさんいらっしゃいます。

病院で相談しても処方してもらえなかった…という患者さんや、処方してもらったものの、心配になって結局飲まずに我慢していた…という患者さんも経験しました。

大丈夫。
授乳中でも、花粉症のお薬が使えます。

この記事では、授乳中につらい花粉症の症状にお悩みのあなたに

・授乳中でも使用できるお薬名
・病院で希望の薬を処方してもらうためのコツ

をお伝えします。

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授乳中と伝えると、医師がお薬を処方してくれない理由

花粉症で困ると、近くの内科や耳鼻科を受診すると思うのですが…

今、授乳していて…

と伝えた途端に、お薬がろくに処方してもらえなかった…

なんて経験、あなたにはありませんか?

私は内科外来をしていて、

・他の内科の先生には授乳をやめないとお薬は出せないと言われた
・目薬や点鼻薬だけは出してもらえたけれど、飲み薬はダメだと言われた

と、鼻水ダラダラ、赤い目をこすりながら、赤ちゃんを連れて外来にきたママさんたちと何人もお会いしています。

その度に、

ゆず
ちゃんと調べもせずに…こんなに辛いママさんたちに、どうして処方してあげないの〜!?

と、内心怒り心頭です。

でも、授乳中のママに先生がお薬を処方してくれない理由は、「添付文書」にあるんです。

添付文書には、授乳中はダメとはっきり書いてある

添付文書とは、製薬会社が出している医療従事者向けのお薬の説明書のこと。

添付文書は、

・臨床試験データや、市販後調査のデータなどの根拠に基づいて記載される
・添付文書に記載されていた注意事項に、医師が理由なく従わなかった場合、事故が起きると責任を問われる

という性質があります。

そう。
添付文書に

「授乳中の婦人には投与を避けることが望ましい」

と一言書いてあるお薬を授乳中の方に処方して、もし何かあったら…
医師は過失を追及されることになるんです。

花粉症のお薬の多くは、この

「授乳中の婦人には投与を避けることが望ましい」

という文言が書いてあります。
だから、処方してもらえないんです。

添付文書に「授乳中にも使用できる」と記載するのは難しい

添付文書は、臨床試験データや市販後調査データに基づいた説明が書かれると、お伝えしました。

じゃあ、ちゃんとデータを集めてくれればいいじゃない…

と、思いますよね?

でも…

「授乳中にお薬Aを飲んで、赤ちゃんに有害ではないかどうか、試験します。」
「有害か、そうでないかは、飲んでみるまで分かりません」

なんて言われて、あなたならその臨床試験に参加しますか??
赤ちゃんに何か害があるかもしれないのに?

大抵の人は…しませんよね。
もしその薬が治療にどうしても必要で、赤ちゃんに危険かどうかがわからないのであれば、おそらくは多くの人が授乳の方を諦めるでしょう。

このように授乳に関するデータは、被験者となってもらうことが倫理的に問題があるため、臨床試験そのものを組むことが難しい。
だから、「授乳中は避ける」の一言で片付けるしかないお薬がたくさんあるんです。

授乳中に内服しても良いお薬をまとめたウェブサイトを活用すれば解決!

添付文書上はダメ。
でも処方できるお薬のデータ、実は様々なホームページにまとまっていて、その最たるが

「国立成育医療研究センター 妊娠と薬情報センター」

のウェブサイトです。

国立成育医療研究センターは、国内最高峰の小児医療センター。
こちらのウェブサイトであれば、信頼できる情報だと思っていただいて構いません。

国立成育医療研究センター|妊娠と薬情報センター

ウェブサイトは誰でも見ることができ、一般の方であれば相談窓口もあります。
(医療関係者は相談できないことになっています。)

花粉症の薬に限らず、様々なお薬の情報が載っていますので、心配なことがあるようならチェックしてみて下さいね。

では、「国立成育医療研究センター」のウェブサイトの情報などを参考に、授乳中に使用できる花粉症のお薬を解説していきます。

授乳中もOKの花粉症に使える内服薬

授乳中にも内服OKの、花粉症に使える内服薬をまとめます。
添付文書には「授乳中はダメ」と書いてあるものでも、成育医療研究センターのウェブサイトでOKが出ているものに関しては掲載しています。

商品名(一般名)

の表記になっている点に注意してくださいね。

こちらの記載したものに関しては、注釈がないものについては

・授乳を止める
・授乳時間をずらす

などの対策は必要ありません。

ただし、用法・用量は必ず守って内服してください。
症状が辛いからと、過剰に飲むのはNGです。

抗ヒスタミン薬

抗ヒスタミン薬は、アレルギー症状による辛い鼻水や目のかゆみなどを抑えるお薬です。
眠気が強く出るタイプと、眠気が出にくいタイプがあります。

比較的新しい抗ヒスタミン薬は、眠気が出にくいものが多く、子育て中の忙しいママにもおすすめです。

デザレックス(デスロラタジン)

眠気が出にくく、効果は高いタイプのお薬です。
比較的新しいお薬で、日本では2016年11月に処方解禁となりました。

病院で処方してもらう薬で、ドラッグストアでは購入できません。
従来のお薬ではあまり効かなかったり、眠気が強く出てしまう、という人におすすめします。

1日1回タイプで、空腹時の内服もOKです。

アレグラ(フェキソフェナジン)

眠気は出にくいものの、効果もマイルドなタイプのお薬です。

「アレグラFX」はドラッグストアやアマゾン、楽天でも購入できる第二類医薬品。
病院を受診しなくても購入できるのは便利ですよね。
(病院でも処方を受けられます。)

1日2回タイプで、空腹時の内服もOKです。

クラリチン(ロラタジン)

眠気がほとんどないとされているものの、効果はマイルドなタイプのお薬です。

「クラリチンEX」は薬剤師さんがいるドラッグストアで購入できる「要指導医薬品」です。
(病院でも処方を受けられます。)
薬剤師さんがいる時間帯でないと購入できないため、購入時は注意して下さいね。

添付文書では1日1回食後に投与することになっていますが、寝る前など、必ずしも食後ではなくても問題はありません。(臨床試験の一部では空腹時に投与しています。)

ステロイド

ステロイドは、免疫を抑えるタイプのお薬。
強いアレルギー反応を落ち着かせるために使います。

花粉症に対して内服のステロイドを処方することは、あまり多くありません。
ドラッグストアではもちろん購入できず、医師の処方に基づいて病院で処方されるお薬です。

プレドニン(プレドニゾロン)

プレドニゾロンは、成育医療研究センターのホームページには記載がないお薬になりますが、1日30mgまで(文献によっては40mg未満とする場合も)なら授乳を止めなくても良いというのが定説です。
それより多い量の場合は、内服から授乳までを4時間以上あけることが推奨されます。

また、長期間続けて使用する場合には、さらなる配慮が必要になります。

花粉症に対して処方されることは少ないと思いますが、上記の基準を参考にして下さい。

リンデロン(ベタメタゾン)

こちらも成育医療研究センターのホームページには記載がないお薬です。
1回だけの投与ならば、授乳を止めなくても良いというのが定説ですが、複数回使う必要がある場合は、プレドニゾロンと同様、内服から授乳までを4時間以上あけることが推奨されます。

授乳中もOKの花粉症に使える外用薬(点眼薬・点鼻薬)

花粉症の場合、点眼薬や点鼻薬などの外用薬を使うケースも多いと思いますので、今度は外用薬の解説をします。

花粉症を含め、アレルギーの点眼薬や点鼻薬には

・抗ヒスタミン薬
・ステロイド

が含まれるものが多いです。
これは、内服薬と同じなんですね。
点鼻薬の場合には、他に血管を収縮させるお薬が使われていることもあります。

母乳は血液から作られるため、血液中にお薬がどれくらい吸収されるかがポイント。
血液中に吸収されたお薬の内の一部が、母乳にも移行するからです。

点眼薬、点鼻薬は血液中への吸収がごくわずかであるため、血液中のお薬の濃度もごくわずかしか上がりません。
さらに、母乳中に移行するお薬はもっと少なくなります。

母乳に混じるお薬がものすご〜く少ないため、外用薬の使用時に授乳を止める必要はありません。
ただし念のため、用法・容量の範囲内で使用して下さいね。
(痒いからって、目薬さしまくるとかは、やめておきましょう!)

病院でこれらのお薬を処方してもらうコツ

ドラッグストアで購入できるお薬の場合は自分の判断で買うか買わないかを決められるからいいのですが…
問題は、病院で処方されるお薬です。

どうやって、お薬を処方してもらったらいいのかな…

って、思いますよね。

意外に思われるかもしれませんが、成育医療研究センターのサイトをスマホで開いておいて、先生に見せちゃいましょう。

「そんなことしていいの?」と思います?

大丈夫ですよ!
外来にそういうママが来ても、私なら全然嫌じゃないです。

患者さん
花粉症で、点眼や点鼻だけでは症状が辛くて。
いつもはお薬を飲んでいるんですが、今年は授乳中で…
先生
授乳中ですか。
じゃあ、今年は点眼と点鼻だけにしておきましょうか。
患者さん
授乳中でも飲めるお薬を紹介しているサイトがあったんです。
この中から、どれか処方してもらうことはできますか?
先生
わかりました。
じゃあ、デザレックスを処方しておきますね。

こんなイメージですね。

『国立成育医療研究センター』を知らない医者がいたらお目にかかりたいくらい、成育医療研究センターは超有名病院です。
ここの公式ウェブサイトに記載されているとわかれば、ほとんどの医師はすんなり処方してくれると思いますよ。

まず、以下のリンクから、国立成育医療研究センターのウェブサイトを開きます。

国立成育医療研究センター|授乳中に安全に使用できると考えられる薬

下にスクロールすると…

50音順、薬効順の一覧表がありますので、どちらかのページを開いて、処方してもらいたいお薬が見られるようにしておいて下さい。

薬効順の方で開いておく方が、同じグループのお薬が並んでいるので、処方する時に見やすいと思います。

あとは、そのページを医師に見せればおそらく大丈夫。
「成育医療研究センターのページです。」と一言伝えるとさらに◎です!

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まとめ

この記事では、花粉症に悩める授乳中ママさんに少しでも元気になっていただけたら…という気持ちで、授乳中でも使用できる花粉症のお薬についてまとめました。

最後に、ご紹介したお薬を表にしておきますね。

お薬の商品名(お薬の一般名) 注意事項
デザレックス(デスロラタジン) 病院での処方のみ、眠くなりにくい、効果高い
アレグラ(フェキソフェナジン) 病院での処方、ドラッグストア・ネットショップで購入も可能
クラリチン(ロラタジン) 病院での処方、薬剤師がいるドラッグストアでも購入可能
プレドニン(プレドニゾロン) 病院での処方のみ、30mg以上や長期投与では授乳まで4時間あける
リンデロン(ベタメタゾン) 病院での処方のみ、単回投与以外は授乳まで4時間あける
点眼薬・点鼻薬 用法・用量を守れば使用に制限なし

病院で処方を受ける場合には、医師に遠慮なく国立成育医療研究センターのウェブサイトを見せて、相談して下さい。

国立成育医療研究センター|授乳中に安全に使用できると考えられる薬

ただでさえ大変な、子育ての時期。
あなたの花粉症の症状を少しでも楽になったり、お薬の不安が少なくなるお手伝いができていれば、幸いです。

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