こんにちは。
現役内科医ママの、ゆずです。
毎年風邪が流行する季節になると、中耳炎にかかるお子さんも増えてきます。
中耳炎と聞くと…
中耳炎は、小さなお子さんに多い病気です。
特に、保育園などの集団保育を受けているお子さんはかかるリスクが高い病気。
でも…お熱が出た時に小児科を受診しても、見逃されてしまうことがあるんですよね。
今日はそんな「急性中耳炎」について
・急性中耳炎の症状
・急性中耳炎かも…と思った時にどうしたら良いか
・急性中耳炎の治療
・中耳炎になりやすいお子さんの自宅でできるホームケア
こんなことをお伝えします。
特に、保育園に入園したばかりの0〜2歳のお子さんをお持ちのパパ、ママさん。
中耳炎の知識が頭の片隅にあれば
耳鼻科に連れて行ってみようかな?
と行動することができます。
ぜひ一度、目を通してみて下さいね。
目次
急性中耳炎はどんな病気?
先ほどから「急性中耳炎」と書いてきましたが、普通に中耳炎って言えばいいんじゃないの?…と思ったあなた!(思ってなかったらごめんなさい。)
実は、中耳炎にはいくつか種類があるんです。
まずはそこからお話ししましょう。
中耳炎にはいくつか種類がある
中耳炎と聞いてイメージするのは、耳が痛くなって、聞こえにくくなって、熱が出る…こんな症状ではないでしょうか。
こんなイメージの中耳炎が「急性中耳炎」です。
実は中耳炎には他にも、
・慢性中耳炎
・真珠腫性中耳炎
・好酸球性中耳炎
と色々な種類があり、どれも急性中耳炎とはちょっと病気の成り立ちが異なります。
今日は、最もポピュラーな「急性中耳炎」について、解説していきます。
急性中耳炎とは?
急性中耳炎とは、耳の中にある鼓膜の内側にある「中耳」というところに、ウイルスや細菌が感染してお起こる感染症です。
鼻の奥にある「耳管」という管が中耳とつながっているのですが、耳管を通ってウイルスや細菌が中耳に入り込んでしまい、炎症を起こすと急性中耳炎になります。
風邪をひいた時に急性中耳炎になりやすい
風邪をひいて鼻水が出ている状態は、鼻の奥から耳へとつながっている「耳管」からウイルスや細菌が入り込みやすい状態です。
風邪をひいたことをきっかけに急性中耳炎になってしまうのは、これが原因です。
急性中耳炎は赤ちゃん〜3歳くらいまでのお子さんがかかりやすい
急性中耳炎では、「耳管」からウイルスや細菌が中耳に侵入して炎症を起こしてしまうと説明しました。
小さなお子さんはこの「耳管」の機能がまだ十分ではなく、大人と比べると耳までの距離も短い状態。
このため、小さなお子さんほど風邪をひいた時に急性中耳炎になりやすいんです。
0歳〜3歳未満のお子さんは、急性中耳炎になりやすい為、注意が必要です。
逆に、小さい頃に中耳炎を繰り返してしまったお子さんでも、耳管の成長に従い中耳炎になりにくくなるケースが多いです。
急性中耳炎は保育園など集団保育のお子さんで多い
急性中耳炎は、保育園など集団保育を受けているお子さんで多いことが知られています。
これは、集団保育を受けていると、どうしても風邪などの感染症にかかる機会が多くなってしまう為と考えられます。
後で急性中耳炎のためのご家庭でできるケアについてもお話しますが、お子さんが春から保育園に入園予定というご家庭などは、あらかじめ対策をしておくのがおすすめです。
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急性中耳炎の症状は?
急性中耳炎にかかると、
・発熱(37℃台の微熱〜38℃以上となることも)
・耳が塞がった感じ
・耳だれ(耳漏と言います)
・聞こえにくさ
こんな症状が出ます。
耳だれは、鼓膜の内側に溜まった膿の量が多くなり、鼓膜の一部が破れて外に出てきている状態ですが、これは症状が進まなければ出ません。
少し大きなお子さんであれば
「ママ、お耳が痛い」
と言ってくれるかもしれませんが…
耳の痛みや耳が塞がった感じ、聞こえにくさなどの症状は、0歳や1歳の赤ちゃんはうまく表現できません。
となると、パパ、ママには発熱以外、ほとんど手がかりがないということに。
3歳頃までのお子さんが風邪をひいて、風邪の熱は良くなったようなのに、また熱が出た…
そんな時は、「もしかして、急性中耳炎では?」と疑ってみることが大切です。
お子さんの兆候としては、
・不機嫌(耳が痛いため)
こんな症状に注意して観察してみるようにして下さい。
急性中耳炎かも…そんな時は耳鼻科受診を!
「うちの子、もしかして中耳炎なのかも…?」
そう思った時は、お近くの耳鼻科を受診して下さい。
急性中耳炎は鼓膜の内側に炎症が起きてしまう病気ですが、
・鼓膜が赤くなる
・鼓膜が腫れる
・鼓膜に光をあてると濁って見える
このような鼓膜の所見から、診断することができます。
鼓膜は耳の中を耳鼻科の先生にのぞいてもらえばすぐに観察することができるので、赤ちゃんでも簡単に診てもらう事ができますよ。
また、急性中耳炎の原因となるだけでなく、治りを悪くしてしまう鼻水も、耳鼻科の先生ならしっかりと吸引してくれるので、早めの耳鼻科受診はおすすめです。
急性中耳炎の治療とは?
急性中耳炎の治療は
・痛みや熱に対する対症療法
・抗生剤の内服
・鼓膜を切開して膿を出す
大きく分けるとこの4つです。
鼻やのどの風邪が自然に免疫力で治っていくように…
急性中耳炎も症状が軽いものなら痛みや熱を和らげるための解熱鎮痛薬を内服して、様子を見るだけで良くなるケースが数多くあります。
経過観察では良くならない場合には、細菌感染をコントロールするため、抗生剤を内服します。
抗生物質をしっかり使っても良くならず中耳に膿が溜まってしまう場合などは、鼓膜を切開することも。
鼓膜を切ったら音が聞こえなくなるんじゃ…と怖く思うかもしれませんが、そんなことはありませんので、ご心配なく。
但し、泣いて暴れてしまう年齢のお子さんで鼓膜切開が必要になる場合、麻酔で眠ってもらう必要がある場合もあります。
治療は段階的に行われるのが一般的ですが、耳鼻科を受診した時の炎症の度合いによってどの治療から始まるかも変わってきます。
受診した耳鼻科の先生の判断に従って、治療を受ける様にして下さいね。
お薬を子どもが飲んでくれない…そんな時の対処法
急性中耳炎になって抗生剤や痛み止めが処方されたけれど、子どもが粉薬を飲んでくれない…これは困ってしまいますよね。
そんなお悩みには
【粉薬を嫌がるお子さんに!粉薬をおいしく飲むためのOK・NG食材と飲ませ方を内科医ママが解説します。】

こちらの記事がお役に立てると思います。
急性中耳炎の時に処方される、抗生剤のおいしい飲み合わせ食材について解説していますので、お子さんに飲ませる前にぜひ一度ご覧になって下さい。
急性中耳炎になりやすいお子さんは、ご家庭でも鼻水ケアを!
急性中耳炎にかかる大きな原因は、鼻水です。
とにかく、鼻水をどう制するかが最大のポイント!
急性中耳炎になりやすいお子さんは、風邪を引いたらご自宅でもしっかり鼻水ケアをすると、中耳炎にかかりにくくなります。
また、中耳炎になってしまった場合、中耳炎を早く良くするためにはやっぱり鼻水ケアが大切になります。
耳鼻科ではしっかりと鼻水を吸引してくれますが、鼻水はどんどん出てくるので、耳鼻科で一度吸ってもらっただけでは足りません。
耳鼻科でする鼻水吸引に準じたケアを、ご家庭でもできるというのが理想的です。
鼻水ケアについては、電動タイプの吸引機を使ってあげるのが最もおすすめです。
私も利用していますし、職場の女医ママさんたちは軒並み利用していますよ。
鼻水吸引グッズについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
【耳鼻科医推奨!】鼻をかめない赤ちゃん〜3歳頃までのお子さんには鼻水吸引機「パワースマイル」がおすすめ。各種鼻水吸引グッズの比較も。

もし新しく鼻水吸引グッズの購入を検討される場合には、ぜひご参考になさってください。
肺炎球菌とHib(ヒブ)ワクチンは中耳炎にも有効です
定期接種に指定されている
・小児用肺炎球菌ワクチン
・Hib(ヒブ)ワクチン
これらのワクチン。
肺炎や髄膜炎の予防になることはもちろんですが、肺炎球菌やHib(ヘモフィルス・インフルエンザ菌b型)は急性中耳炎の原因にもなるため、急性中耳炎の重症化を防ぐ意味でも有効です。
お子さんが予防接種を受けられる年齢になったら、忘れずに必ず受ける様にしましょう。
※ヘモフィルス・インフルエンザ菌b型は、冬季に流行するインフルエンザとは全く別物です。
まとめ
急性中耳炎は、3歳未満の小さなお子さんが特にかかりやすい耳の病気です。
最後に、お伝えしたことをまとめます。
急性中耳炎とは?
・中耳と呼ばれる、鼓膜の奥の感染症
・風邪を引いて、鼻水が出ている時にかかりやすい
・3歳未満の、保育園へ通うお子さんはハイリスク
・肺炎球菌、Hibワクチンは急性中耳炎にも有効
急性中耳炎を見逃さないコツ
・小さなお子さんでは症状がわかりにくい為、「中耳炎かな?」と疑うことが大切
・風邪症状は治まってきたのに、また熱が出た場合
・耳を気にして触る仕草がある場合
・理由のわからない不機嫌がある場合
中耳炎かな…と思ったらすべき事
・早めに耳鼻科を受診する
・鼻水のケアが一番大切、ご自宅でも鼻水吸引を
・中耳炎を繰り返すお子さんには、電動鼻水吸引機の購入を
中耳炎に気づかず、発熱を繰り返してしまうお子さんもいます。
中耳炎に気づくために一番大切なことは
「中耳炎を疑って、お子さんの様子を注意深くみること」
です。
特に、春から保育園にお子さんが通うご家庭では
「鼻水が出たら、中耳炎はマークしとけ!」
という心構えがあれば、きっと見逃さずに治療できます。
ぜひ、お子さんの小さなサインに気づいてあげて下さいね。