ノロウイルスによる子どもの胃腸炎の特徴と対処法を内科医ママが解説!感染予防対策も。

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こんにちは。
現役内科医ママの、ゆずです。

胃腸炎が流行する季節になりました。
この記事を書いているのは1月の第1週目なのですが、たくさんの人の移動があった翌週には感染症の流行が多い傾向があります。
ちょうど年末年始のお休みが明けたところですから…来週あたりからインフルエンザや胃腸炎が増えるんじゃないかな…と密かに心配しています。

胃腸炎と聞くと、多くの方が真っ先に心配されるのが「ノロウイルス」の感染ではないでしょうか。
外来でも、「胃腸炎ですね」とお伝えすると

患者さん
先生、ノロウイルスですか!?
なんて質問されることがしばしばあります。

ノロウイルス感染症は、テレビのニュースでも取り上げられますし、お年寄りの施設などでは亡くなる方も出るので、皆さん関心が高い様です。
今日はそんなノロウイルスによる胃腸炎について、感染する原因や、罹ってしまった時の対処法などを解説したいと思います。

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胃腸炎や食中毒の原因になる、ノロウイルスとは?

ノロウイルスとは、小さくて丸い形をした胃腸炎の原因となるウイルスです。
主に寒い冬の間に流行する胃腸炎の原因の一つになります。

ノロウイルスは食中毒や流行性の胃腸炎の原因になる

ノロウイルスに汚染された牡蠣を生で食べることで食中毒が発症することは有名です。
また、感染した患者さんの嘔吐物、便などには大量のノロウイルスが含まれているため、嘔吐物や便を介して人から人へと感染する、「感染症」としての側面もあります。

ノロウイルス感染の特徴は、わずかなウイルス量でも簡単に胃腸炎が発症してしまうこと。
ノロウイルスの胃腸炎にかかった人と同居している家族が全員発症…なんていうのは珍しくありません。
感染者が出ると、その周囲にあっという間に広がってしまうのが、ノロウイルス感染の怖いところです。

ノロウイルスにはどの様に感染するのか

ノロウイルスの特徴は、感染力の強さだということはお伝えしました。
では、どんな風にノロウイルスに感染するのかを具体的にお話しします。

1. 食中毒の場合

食中毒の場合には、

・生の牡蠣を食べる
・加熱が不十分な状態で牡蠣やアサリを食べる

こんなケースで感染してしまう恐れがあります。
しっかり加熱すれば感染しなくなりますが、例えば調理の段階で生の牡蠣を触った手をよく洗わずにサラダを作ったりしてしまえば、サラダから感染してしまう恐れがあります。
生の牡蠣が触れたまな板などを、別の食材の調理に使っても同じ。
感染を防ぐためには、調理の段階からビニール手袋を使う、調理は最後にするなど工夫が必要です。

2. 人から人への感染症の場合

胃腸炎にかかった人からうつる場合には

・感染した人の嘔吐物や便が手につくなどして口に入る
・ノロウイルスがついた手や衣服などに触れ、それが口に入る
・下痢便や嘔吐物が床などに飛び散った時に、ノロウイルスを含んだごく小さな水滴が空気中に舞い、それを吸い込む

こんな経路で感染します。

ママ
さすがに嘔吐物や便は口になんか入れないわ。
…と思ったら、大間違い!
ノロウイルスはごくわずかな量が体内に入っても胃腸炎を発症してしまうのが怖いところ。
感染した方の便1gには数億個のノロウイルスが含まれていると言われているのですが、たった10〜100個のウイルスが体内に入るだけで感染してしまうんです。
数億のうち10個…

お子さんの看病で手についた嘔吐物や下痢をよ〜く洗い流したつもりでも、見えないウイルスは手についています。
その手で食事をしたら、そのウイルスがあなたの口に…
ノロウイルスの胃腸炎は、うつりやすいわけです。

ノロウイルスによる胃腸炎の症状は?

ノロウイルスによる胃腸炎の症状は、基本的には一般的なウイルスによる胃腸炎と同様

・下痢(形にならない程度の軟便〜水みたいな便(水様便)までを含む)
・吐き気、嘔吐
・発熱(微熱〜高熱まで)
・腹痛

などですが、これ以外にも

・頭痛
・筋肉痛
・寒気

こんな症状を伴う場合もあります。
症状の程度は患者さんによって個人差がありますが、嘔吐・下痢は1日数回から、ひどい場合には10回以上となることも。
また、子どもでは嘔吐が多く、大人では下痢が多いことが特徴です。
嘔吐物に緑色の水の様なもの(胆汁)が混じることもあります。

乳幼児の場合には脱水と窒息に注意を

小さなお子さんは、大人と比べると嘔吐と下痢により脱水になりやすく、注意が必要です。
発熱があればさらに、脱水になる危険が高まります。
嘔吐の症状が落ち着いている隙に、少量ずつ、こまめな水分補給を心がけますが、それでも脱水になってしまうことも。

・ぐったりして元気がない
・尿の色が濃く、いつもより回数が少ない

こんな状況で水分が十分にとれない場合には、点滴が必要となることもありますので、早めに病院を受診する様にしましょう。

また、嘔吐による窒息は、特に小さな赤ちゃんで心配です。
嘔吐が続いている時は、吐いたものでのどを詰まらせない様、横向きに寝かせる様にしましょう。

ノロウイルスの検査は必要?

ノロウイルスの検査は

・ノロウイルス抗原検査(迅速キット)
・電子顕微鏡を使用した検査
・ウイルスの遺伝子を増幅して検出する検査

などがあります。
通常医療機関で実施できるのは、ノロウイルス抗原検査(迅速キット検査)です。
これは3歳未満のお子さんと、65歳以上の高齢者にのみ保険適用があります。

迅速キット検査は医師が必要と判断した患者さん限定

ノロウイルスの迅速キット検査は、保険適用のある小さなお子さんや高齢者の方が胃腸炎症状で医療機関を訪れたとしても、全例に行うものではありません。
医師が必要と判断した時のみ、行われます。
その理由は、2つ。

1つめは、ノロウイルス感染症と診断がついてもつかなくても、治療方針には変わりがないからです。
ノロウイルスには、抗ウイルス薬が開発されていません。
インフルエンザなら抗ウイルス薬を処方することができますが、ノロウイルスにはそういったお薬がないので、胃腸炎症状の原因がノロウイルスでも、違うウイルスでも、治療は同じなんです。

2つめは、検査の精度の問題です。
迅速キット検査ではノロウイルスに感染していても、検査で陰性と出てしまうことがあります。(偽陰性とよびます。)
もし迅速キット検査で「陰性」の結果が出ても、ノロウイルス感染ではないという証明にはなりません。

この様な理由から、迅速キット検査はむやみには行わないことを、ぜひ知っておいて下さい。

電子顕微鏡検査や遺伝子検査は一般には行わない

残り2つの検査は、患者さんの便などに含まれるノロウイルスを分離して、検査する方法です。
精度は迅速キット検査に比べるとずっと高いのですが、時間がかかります。
これらの検査は、食中毒の原因調査や集団感染の調査など、社会的に必要と認められた時に検査機関に検体を送って行われます。

この様に、ノロウイルス検査を受けることは、医師が必要と判断した時以外にはあまり患者さんにメリットがありません。
先生が検査をしてくれなくても、結局治療は同じなので、心配しなくて大丈夫ですよ。

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ノロウイルスの胃腸炎に罹った時の対処方法

お子さんがノロウイルスの胃腸炎に罹ってしまった時の対処方法は、基本的にノロウイルス以外の胃腸炎の時と同じです。
対処方法についてはこちらの記事に詳しく解説していますので、参考になさって下さい。

【冬に流行する胃腸炎!子どもが罹った場合の症状や対処方法、胃腸炎にかかりにくくする方法を内科医ママが解説します。】

冬に流行する胃腸炎!子どもが罹った場合の症状や対処方法、胃腸炎にかかりにくくする方法を内科医ママが解説します。
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ノロウイルスによる胃腸炎の場合、嘔吐や下痢の症状が強く出ることがあるので、脱水には十分注意が必要です。
また、お子さんが医療機関を受診しなければならないタイミングを逃さないよう気をつけて下さいね。

ノロウイルス感染を予防するためのポイント

パパ・ママが小さなお子さんを看病していて、ノロウイルスの胃腸炎をもらわずに過ごすのは、かなり難しいと思います。
ですが、大人の場合にはあまり症状が出ない場合もありますので、少しでも体の中に入るウイルスの量を減らすことには意味があります。
少しでも感染のリスクを減らすためにできることを、まとめますね。

タオルや食器は分ける

唾液などから感染してしまうリスクがあるため、感染したお子さんとは、タオルや食器は必ず分けるようにしましょう。
食事を一緒にとると、うっかり子どもの食器をママが使ってしまった…とか、お子さんのくしゃみがママの食事にかかった!なんてことがあるので、食事を別々に摂るのもいいと思います。

嘔吐物や排泄物の処理はマスク・手袋・エプロンを着用

お子さんが吐いたものや、下痢を処理する場合には、使い捨てのマスク、手袋、ビニールエプロンを着用し、都度使い捨てにして下さい。
マスク・手袋・ビニールエプロンは、作業が終わったら嘔吐物や排泄物が触れた部分には触れないようにして、大きめのビニール袋に密閉するなどして処理します。

また、嘔吐物や排泄物を処理した後は、流水と石鹸を用いてしっかり手洗いするのもお忘れなく。

ウイルス除菌用の消毒液の作り方

ノロウイルスに効果があるのは、次亜塩素酸ナトリウムです。アルコール系の除菌では強い効果は期待できません。
嘔吐物・排泄物で直接汚れてしまった場所は、次亜塩素酸ナトリウムを用いた除菌をしましょう。

手軽に次亜塩素酸ナトリウム液を作るなら、ミルトンがおすすめ。
哺乳瓶の消毒のため、もともとご家庭にあるよ〜ということもあるでしょう。
ミルトンは次亜塩素酸ナトリウム1.1W/V%に調整されています。

吐物や排泄物で直接汚れた床やトイレの除菌
→水1リットルに対し1%ミルトンを100ml入れ、0.1%濃度で使用

直接汚れがついていないように見えるが、ウイルスが付着している可能性がある場所(ドアノブ、トイレなど)
→水1リットルに1%ミルトンを20ml入れ、0.02%濃度で使用

汚れた衣類の消毒
→水1リットルに1%ミルトンを20ml入れ、0.02%濃度で使用

こんな風に調整してみて下さい。
なお、除菌をうたう様々な商品には、実際には除菌能力が期待できない商品もあるため注意して下さい。

吐いたもの・汚れた衣服の消毒方法

嘔吐物、下痢の中には大量のノロウイルスが含まれています。
処理する際には、先ほどお伝えしたマスク、手袋、エプロンを着用の上で、十分に注意して行って下さい。

吐いたものの処理方法

①ビニール手袋、マスク、エプロンをつけ、ペーパータオルで嘔吐物で汚れている部分の外側から内側へ向かって静かに拭き取ります。勢いよく拭いてしまうと、ウイルスを含む微小な水滴を巻き上げてしまいますので、注意してください。
拭き取ったペーパータオル、使用していた手袋、エプロンなどはすぐにビニール袋に入れ、0.1%濃度の消毒液をかけ、密封して捨てます。
この時、マスクはとらないでください。汚れた手でマスクを触ると危険です。

②拭き取った後の床とその周りは、0.1%濃度の消毒液を浸したペーパータオルで覆い、10分放置した後で水拭きします。(漂白剤で床などが傷む恐れがあるので、この方法が利用できるかどうかは個人でご判断ください。)
消毒液には塩素系漂白剤を使用しているため、窓を開け、十分に換気しながら行います。

汚れた衣類の消毒

①0.02%の消毒液に、汚れた衣類を30分〜60分浸しておきます。
塩素系漂白剤を使用できない衣類の場合には、85℃以上で1分間熱湯消毒することで、消毒液を使用する代わりになります。

②消毒した衣類は汚れていない衣類とは別に、一番最後に洗濯してください。

基本的には全ての作業はマスク着用で行いましょう。
空気中に舞うわずかな水滴に含まれるウイルスからも感染の恐れがあるからです。
着用していたマスクは、エプロンや手袋を外し、十分に流水と石鹸で手洗いをした手で外し、処分します。
マスクに触れた手には再びウイルスが付着している可能性があるため、もう一度流水と石鹸で手洗いをしてくださいね。

ノロウイルスは1週間〜1ヶ月間排泄されることも!

お子さんの嘔吐、下痢の症状が良くなって、食事が摂れるようになったら一安心。

…ですが、パパとママは気を抜いてはいけません。
ノロウイルス、お子さんの便の中に長いと1ヶ月程度排泄されることもあるんです。
家族にノロウイルスにかかってしまった方が出たら、症状が回復した後も少なくとも1週間はウイルスが排泄されているものと考え、手洗いなど十分注意をしてお過ごしください。

ノロウイルスの胃腸炎になっても、慌てず対処を

今日は、冬季に流行しやすいノロウイルスの胃腸炎について解説しました。

・ノロウイルスには特効薬はなく、他のウイルス性胃腸炎と治療は同じ
・ノロウイルス迅速検査は、医師が必要と判断した時のみ行われる
・罹ってしまったら、脱水や嘔吐物による窒息に注意
・わずかなウイルス量でも感染するため、嘔吐物や下痢の処理は慎重に
・2種類の濃度の次亜塩素酸消毒液を使い分けて、上手に消毒を

胃腸炎の発症は、いつも突然です。
お子さんの突然の発症に備えて、

・塩素系漂白剤
・使い捨てのビニール手袋、マスク、ビニールエプロン

これらは常備しておくと安心ですね。

胃腸炎にかからないのが一番ですが、もしかかってしまった時に、この記事がお役に立てれば幸いです。

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