こんにちは。
現役内科医ママの、ゆずです。
風邪が流行するこの季節。
高い熱や熱に伴う関節痛、頭痛、全身の怠さなどの症状が出てしまうと、本当に辛いですよね。
特に忙しいママの場合…
今日はそんな忙しいママに向けて、ドラッグストアで処方箋なしで購入できる解熱鎮痛薬の中でも眠くならないタイプをピックアップし、その種類と特徴について解説します。
目次
忙しいママには、眠くならないタイプがおすすめな理由
今回のお薬の記事、実はあえて「眠くならないタイプ」だけに絞って書くことにしました。
その理由は…忙しいママには、眠くならないタイプが絶対におすすめだからです。
総合感冒薬は便利なお薬…ではない!
総合感冒薬には、熱を下げる成分も、鼻水を止める成分も、咳を止める成分も…と色々な成分が総合的に入っています。
一見、これならどんな風邪にも効きそうで、便利そうに見えますよね。
でも…お薬を処方する立場からすると、ちっとも便利ではないんです。
私が外来で風邪の患者さんを診療する時に、必ずする質問があります。
それは、
私は、患者さんが辛いと感じている症状を和らげるお薬は処方しますが、大して辛くないと思っている症状に対するお薬は出しません。
薬には副作用がある
風邪の症状なら全部和らげた方が元気になるんじゃないか…そう思われるかもしれませんが、そこには副作用の問題が立ちはだかります。
風邪薬にだって、副作用があります。
解熱鎮痛薬なら胃が痛くなる人がいる。
鼻水止めなら眠気、咳止めなら眠気と便秘、喉の痛みを和らげる薬で血液が固まりやすくなる人もいます。
風邪に対して総合感冒薬を内服した患者さんが、副作用のために
これは、主に眠気を催す成分による副作用が原因です。
眠くなる鎮静成分の入った痛み止めは、個人差もありますが時に強い眠気を催すことがあります。家事に育児に忙しいママにとって、強い眠気は困りますよね。
お薬を飲んだ後、ぐっすり眠ってしまいたい方には眠くなるものが良いですが、痛みや熱を抑えたら、家事や育児をこなさなければ…というママには、痛みや熱を和らげることに特化した、眠くならないお薬がおすすめです。
ドラッグストアでも病院で処方されるのと同じお薬が購入できる
以前と比べると、処方箋なしで購入できるお薬の幅が広がっています。
解熱鎮痛薬についてもしかり。
全てのお薬…というわけにはいきませんが、ある程度までなら病院へ行かなくても病院で処方されるのと同じお薬が手に入ります。
実際に、医師が風邪の患者さんへ頻繁に処方するお薬だって、ドラッグストアで処方箋なしで購入することができるんですよ。
・病院を受診するほどの症状ではないがお薬は飲みたい
・小さいお子さんを連れて風邪やインフルエンザの患者さんがいる病院へ行きたくない
こんなママにはとってもうれしいですね。
でも、どの解熱鎮痛薬を選んだら良いかわからない…
しかし、困るのが「どれを選んだらいいの?」ということ。
先日ドラッグストアに行ってみたのですが…本当にたくさんの種類のお薬が並んでいました。
パッケージの裏を見ても難しい成分名が書いてあるばかり。
これでは、一般の方にはどれを選んだら良いのかわかりにくいですよね。
また、同じような名前なのに成分が異なる薬も多いです。
例えば、
・バファリンA
・バファリンEX
・バファリンプレミアム
全部バファリンですが…実はこの3つ、成分が全く違うんです。
あなたは知っていましたか?
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【成分別】処方箋なしで購入できる、眠くならない解熱鎮痛薬のまとめ
種類がたくさんあって、なかなかわかりにくい市販の解熱鎮痛薬。
あなたがドラッグストアで用途に合わせて迷わず購入できるよう、病院で処方される頻度の高い3つの成分について、成分別に特徴をまとめてみます。
1. アセトアミノフェン
アセトアミノフェンは、妊娠中や授乳中のママでも安心して内服でき、小児にもよく処方される解熱鎮痛薬です。
解熱・鎮痛効果はややマイルドですが、胃が痛くなる副作用が少ないことも特徴です。
病院で処方される場合は、
・カロナール
・コカール
などの名前で処方されることが多いですね。
1回量は成人女性なら300〜400mg、4〜6時間以上の服用間隔で、1日3回程度までが目安です。
商品名 | 1錠中の成分 |
バファリンルナJ | アセトアミノフェン100mg |
タイレノールA | アセトアミノフェン300mg |
ラックル速容錠 | アセトアミノフェン300mg |
アセトアミノフェンは肝臓で代謝するタイプのお薬であるため、肝障害が指摘されている方には適さない場合も。肝障害のある方の場合、内服には医師の判断が必要です。
2. ロキソプロフェンナトリウム
ロキソプロフェンナトリウムも、よく処方される解熱鎮痛薬の1つです。
非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs エヌセイズと読みます)に分類されるお薬で、アセトアミノフェンと比較すると鎮痛効果はやや高い印象。
妊娠中(特に妊娠後期)は医師の判断の元でしか使用できませんが、乳汁中への移行は僅かであるため授乳中のママは内服しても良いという意見が多いです。
胃の粘膜を荒らしてしまうことがあるので、できるだけ食後に内服すると良いでしょう。
病院で処方される場合は
・ロキソニン
・ロキソプロフェンナトリウム
などの名前で処方されます。
1回量は60mg、6時間以上の服用間隔で、1日3回までです。
商品名 | 1錠中の成分 |
ロキソニンS | ロキソプロフェンナトリウム60mg |
ロキソニンSプラス | ロキソプロフェンナトリウム60mg |
バファリンEX | ロキソプロフェンナトリウム60mg |
3つの内、ロキソニンSプラスとバファリンEXには、胃粘膜を守るための成分が少量ですが配合されています。
解熱鎮痛薬を内服すると胃が痛くなりやすい…という方は、ロキソニンSプラスやバファリンEXを食後に内服するのがおすすめです。
ロキソプロフェンナトリウムは、腎臓へ悪影響を及ぼす可能性があるため、腎機能が低下している方はご自身の判断での内服は決しておすすめできません。
また、もともと腎臓が悪いという指摘がない方でも、1ヶ月以上など、長期に渡って内服を続ける場合には血液検査を受けた方が良いケースがあるため、医師の判断に従って病院で処方を受けてください。
3. イブプロフェン
イブプロフェンは市販の鎮痛薬、感冒薬には非常によく使用されている成分です。
ロキソプロフェンナトリウムと同じ、非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)に分類されるお薬ですが、ロキソプロフェンナトリウムよりは鎮痛効果がマイルドな印象です。
妊娠中(特に妊娠後期)には使用できませんが、授乳中のママでも安心して内服することができます。
ロキソプロフェンナトリウムと同様に、胃の粘膜を荒らしてしまうことがあるので、できるだけ食後に内服すると良いでしょう。
病院で処方される場合には
・ブルフェン
・イブプロフェン
などの名前で処方されます。
一般的な1回量は200mg、4〜6時間の服用間隔で、1日3回までです。
商品名 | 1錠(包、カプセル)中の成分 |
イブ | イブプロフェン75mg |
フェリア細粒 | イブプロフェン150mg |
リングルアイビー | イブプロフェン150mg |
リングルアイビー200 | イブプロフェン200mg |
ナロンメディカル | イブプロフェン200mg |
イブプロフェンは眠くなる成分との配合剤が広く市販されています。
眠くならないタイプが良いという場合は、有効成分がイブプロフェンのみのものを選ぶようにして下さい。
こちらでご紹介したものは全て、有効成分がイブプロフェンだけの眠くならないタイプです。
どの薬が一番効くかは個人差がある
診療をしていると…
ですが…どれが効きやすいかは個人差があるため、一概にこれと決められないんです。
お薬の効き目は
・その人の体質
・どんな症状を抑えたいか
によって変わってきます。
その理由は、痛みの原因がその人によって、もしくは症状によって異なるからです。
例えば、Aさんにアセトアミノフェンを処方したとしましょう。
発熱や歯の痛みの時はアセトアミノフェンがよく効いたのに、頭痛にはあまり効かなかった…
でも、同じAさんの頭痛にはロキソプロフェンがすごく効いた!
こんなこともよく経験します。
自分に合ったお薬を把握するためには
「どの症状に、何という成分の薬が効いたのか」
をきちんと覚えておくことが大切です。
購入する際には、有効成分の表示を必ず確認
この記事を書いている時点と、あなたが購入する時点で、お薬の成分に変更があった…
そんなことがないとも限りません。
それぞれのお薬を購入する際には、必ず成分名を確認してください。
冒頭でもお伝えしましたが、似たような名前でも成分の異なる薬が多く販売されています。バファリン、ナロンなどは様々な種類がありますが、どれも成分が少しずつ、または大幅に異なることを知っておいて下さい。
例えば、ロキソニンS、ロキソニンSプラス、ロキソニンSプレミアムは、全てロキソプロフェンナトリウムが配合されていますが、その他の有効成分に違いがあります。
今回ご紹介したのは、前の2つのみでしたね。
ロキソニンSプレミアムは眠気が出るタイプのお薬です。
くれぐれも、お間違いのないようお気をつけ下さい!
病院で処方を受けた方が良いのはこんな場合
病院で処方されるのと同じ成分のものがドラッグストアで手に入るなんて、とても便利ですね。
でも、病院に行って処方を受けた方が良いケースもあります。
・肝臓や腎臓など、臓器機能に異常がある場合
・持病で内服しているお薬があり、主治医から併用の許可がない場合
・喘息(特にアスピリン喘息)と診断されている場合
・妊娠している場合
こんな場合には、病院で医師と相談してお薬を飲むことをお勧めします。
また、
・解熱鎮痛薬を常用しなければならないほど症状が続いている
こんな時には、きちんとした治療が必要な病気がある可能性もあります。
市販薬を飲んで症状をごまかすのではなく、ちゃんと病院を受診して下さいね。
風邪で病院を受診するなら、こちらの記事も
風邪にまつわるよくある疑問については、
【風邪は早く受診すれば早く治る!?抗生物質は必要?よくある風邪の疑問を内科医ママが解説します。】

また、授乳中のママが風邪で病院を受診した際に、内服できるお薬のまとめは、
【授乳中の風邪…辛い症状に使えるお薬はどれ?現役内科医ママが解説します。】

こちらで解説しています。
この2つの記事も、ぜひあわせてご参考になさってください。
市販のお薬を有効活用して、辛い症状を乗り越えましょう
処方箋なしで購入できる市販のお薬の中にも、病院で処方されるものと同じ成分のものがあります。
病院を受診する時間がない、病院へ行くほどの症状ではない…といった場合には、ぜひ市販のお薬を活用して、辛い症状を乗り越えましょう。
最後に、お薬の成分と名前をまとめておきます。
・アセトアミノフェン
商品名 | 1錠中の成分 |
バファリンルナJ | アセトアミノフェン100mg |
タイレノールA | アセトアミノフェン300mg |
ラックル即容錠 | アセトアミノフェン300mg |
・ロキソプロフェンナトリウム
商品名 | 1錠中の成分 |
ロキソニンS | ロキソプロフェンナトリウム60mg |
ロキソニンSプラス | ロキソプロフェンナトリウム60mg |
バファリンEX | ロキソプロフェンナトリウム60mg |
・イブプロフェン
商品名 | 1錠(包、カプセル)中の成分 |
イブ | イブプロフェン75mg |
フェリア細粒 | イブプロフェン150mg |
リングルアイビー | イブプロフェン150mg |
リングルアイビー200 | イブプロフェン200mg |
ナロンメディカル | イブプロフェン200mg |
購入の際には、似たような名前でも全く成分が異なるお薬がたくさんあることに注意して下さい。
また、あまり辛い時は我慢しすぎず病院へお越しくださいね。
この記事が、忙しいママの風邪や痛みの対策に、お役に立てれば幸いです。